殺人、はじめました。

 「君、どこから来たの」
いきなり、タコみたいな容姿をした店員に聞かれた。
たぶん、芸能人の真似をしていると思うけど、全く似てない。
一ミリも似てない。似てなさ過ぎてヤバい。
「この辺。わざわざ遠くから来るかしら?」
「美人だね。おいで」
できるだけ、強気な女性を演じた。か弱かったら、私のプライドに欠ける。
「あんたは誰だ」
「へ?俺っすか。ちょっ、セリフありません?」
馬鹿だ。セリフなんか用意してるわけねぇだろ。
「ア・ド・リ・ブ!」
口の動きで話す。コイツ、連れてこなくてよかったかも。
「あ、地元高校生っす!」
「ここの目的を分かっているか?女が来る場所だぞ」
「姉ちゃんが、来いって言ったから!」
私を巻き込むな!
「そんなこと言ってないし。この子、知りません。他人です、他人」
「知らないってよ」
「え、あ…ね、姉ちゃん!」
演技下手くそ。下手くそすぎて閑古鳥が鳴いてる。
「バーカ」
これは、本当に言わないと気が済まなかった。
「馬鹿って!ヒドイ。」
「これ、ほとんどコントだし。」
タコ店員、ナイスツッコミ!
「北川雨歌って知ってる?」
「あ、俺の彼女。」
「ー私の友達なんだけど。」
「雨歌に、友達とかいたんだ!へぇ」
「告白したのはあんた?雨歌?どっち?」
「俺のほうからだけど。」
「OK。ちょっと待ってなさいよ。ーベル、やるわよ」
「いよいよっすか」
「そうよ。」
「楽しみっすね」
私は、ニヤリと笑って言った。
「私たち、あんたを殺しに来ました。」