夢丘の着替えを待って、パーティールームに移動した。何が起こるのかと、不安半分期待半分でドアの前に立った。

 ホテルのスタッフがドアを開けると、それを待っていたように音楽が流れた。
 驚いた。
 ウエディングマーチだった。
 スタッフが夢丘の手を取って、わたしの腕に導き、腕を組むような格好になった。そして、ゆっくり歩き出すように促された。

 出席者たちは両側に一列になって並んでいた。その中に宮国もいた。前を通ると、「おめでとう」という声と共に花が投げられた。その瞬間、夢丘が口に手を当てた。目には涙が溜まっていた。溢れるのに時間はかからなかった。わたしは一生懸命我慢していたが、それも限界に達した。溢れるのを止めることはできなかった。
 
 目の前には祭壇のようなものがあった。そこに神父の格好をした男性が立っていた。バヌアツ出身だと自己紹介された。そして、テレビなどでお馴染みのあの場面が再現された。

「その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しきときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、愛し続けることを誓いますか?」

「はい、誓います」

 そして、促されるままにキスをすると、会場から拍手が起こった。「おめでとう」という声がいくつも追いかけてきた。感涙は最高潮に達した。