翌日、グリーンを身に着けて4人が回転寿司屋に集まった。
 西園寺はグリーンのジャケット、神山はグリーンのパンツ、宮国はグリーンのシャツ姿で現れた。わたしはグリーンのハンカチを胸ポケットに飾っていた。

「和差美プロジェクトだからグリーンの物を身に着けろ、なんて誰が言ったんだよ。部屋中探して何もないから、慌ててグリーンのハンカチを買いに行ったよ」とボヤくわたしに耳を貸さないで、3人は品定めに集中していた。

「トロからだな」

 神山が中トロの皿を取った。

「俺は、サーモン」

 宮国だった。

「僕は~、ヒラメ」

 西園寺が舌なめずりをした。

 わたしは赤身のヅケから食べ始めた。

        *

「回転寿司って日本人の発明だよね」

 10皿を食べ終えたわたしに3人が頷いた。

「大阪の寿司屋さんがビール工場のベルトコンベアを見て、考えついたらしいですよ」

 口をモグモグさせながら西園寺が言った。

「どこにでもヒントがあるものですね」

 宮国が感心したように頷いた。

 そう、どこにでもヒントはある。
 それを感じるか、感じないか。
 それに気づくか、気づかないか。
 それを見つけることができるか、できないか。
 その違いは、飽くなき探求心と桁外れた持続力が有るか無いか。

 何かを真剣に探し求め、求め続ければ、必ずいつか閃きが訪れる。目を皿のようにし、耳をダンボにし、体中にアンテナを張り巡らせば、必ず幸運の女神に気づき、見つけることができる。信じて探し求め続けるのだ。

 わたしは自らに気合を入れた。