翌日から、講義を受けながら、大量のリポートを作成しながら、『付加価値についてのディスカッション』への準備を進めた。単に準備を進めるだけでなく、彼らに負けない発言を自らに課した。ビジネス経験が一番長い自分が負けるわけにはいかなかった。そのため、改めて教授の言う付加価値について考えた。この意味を真に理解しないと的外れな発言になってしまうからだ。すると、教科書に書いてある『総生産額から原材料費や減価償却費(げんかしょうきゃくひ)等を差し引いたもの』という定義に縛られてはならないということに気がついた。

 では、なんだろう? 

 試行錯誤を繰り返していくと、それは、その企業が生み出した独自価値に違いないという結論に達した。

 とすれば、その独自価値とは具体的に何を言うのか? 
 どういうきっかけで生み出されるのか? 
 どうやって形にしていくのか? 
 誰が主導して作り上げていくのか? 

 考えた。
 考え続けた。
 食事中に、トイレの中で、風呂の中で、ベッドの中で、必死になって考え続けた。