「人でもわかる者もいるだろう」
紅蓮は言い切った。
過去、対峙した人間は札の効力を理解した上で攻撃を仕掛けてきたことがある。そのことを思い出していた。
* * *
「お姉さまとご一緒できる日が来るなんて夢にも思わなかったわ」
静子はにこりと笑いながら、春代に声をかけた。
陰陽師としてのデビューになる為、念のため、家の者を指導役としてつけたのだろう。それが静子だった。静子の視線は春代の服に向けられ、鼻で笑う。
「ずいぶんと古い格好ですこと。幽世の流行りですの?」
「ええ。紅蓮様がご用意してくださいました」
「まあ! 旦那様にご用意させるだなんて、ずいぶんと大事にされているのね」
静子は酷く驚いていた。
それから、春代には用事がないと言わんばかりに紅蓮に熱い視線を向ける。
「紅蓮様。春代お姉さまの異母妹の神宮寺静子ですわ。先日は恥ずかしい姿をお見せしたことをお忘れくださいませ」
静子は紅蓮に声をかける。
それに対し、紅蓮は無言だった。
「紅蓮様?」
「なんだ」
「静子様には返事をしなければなりません」
春代は静子のことを様付で呼ぶ。
異母姉妹だとは思えない待遇だった。
「なぜだ」
紅蓮は問いかける。
返事をする価値もないと言っているかのようだった。
「彰浩様の婚約者ですもの。いずれ、神宮寺の頂点を支える方になります」
「そうか。あの弱弱しい男の嫁か」
「紅蓮様が強いだけです。神宮寺家では当主の次に強い方なのですよ」
春代は困ったような視線を静子に向けた。
それに対し、静子は嫉妬の炎を燃やしていた。
「紅蓮様。わたくし、陰陽師として優秀な部類に入りますのよ」
静子は語る。
「お姉さまとは比べようもありませんわ」
自分がいかに有能であるのかを自慢げに語った。
紅蓮は言い切った。
過去、対峙した人間は札の効力を理解した上で攻撃を仕掛けてきたことがある。そのことを思い出していた。
* * *
「お姉さまとご一緒できる日が来るなんて夢にも思わなかったわ」
静子はにこりと笑いながら、春代に声をかけた。
陰陽師としてのデビューになる為、念のため、家の者を指導役としてつけたのだろう。それが静子だった。静子の視線は春代の服に向けられ、鼻で笑う。
「ずいぶんと古い格好ですこと。幽世の流行りですの?」
「ええ。紅蓮様がご用意してくださいました」
「まあ! 旦那様にご用意させるだなんて、ずいぶんと大事にされているのね」
静子は酷く驚いていた。
それから、春代には用事がないと言わんばかりに紅蓮に熱い視線を向ける。
「紅蓮様。春代お姉さまの異母妹の神宮寺静子ですわ。先日は恥ずかしい姿をお見せしたことをお忘れくださいませ」
静子は紅蓮に声をかける。
それに対し、紅蓮は無言だった。
「紅蓮様?」
「なんだ」
「静子様には返事をしなければなりません」
春代は静子のことを様付で呼ぶ。
異母姉妹だとは思えない待遇だった。
「なぜだ」
紅蓮は問いかける。
返事をする価値もないと言っているかのようだった。
「彰浩様の婚約者ですもの。いずれ、神宮寺の頂点を支える方になります」
「そうか。あの弱弱しい男の嫁か」
「紅蓮様が強いだけです。神宮寺家では当主の次に強い方なのですよ」
春代は困ったような視線を静子に向けた。
それに対し、静子は嫉妬の炎を燃やしていた。
「紅蓮様。わたくし、陰陽師として優秀な部類に入りますのよ」
静子は語る。
「お姉さまとは比べようもありませんわ」
自分がいかに有能であるのかを自慢げに語った。



