========== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ============== 主な登場人物 ================
 戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。
 神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。
 船越栄二・・・東山署副署長。チエを「お嬢」と呼んでいる。
 茂原太助・・・東山署生活安全課警部補。チエを「お嬢」と呼んだり、「小町」と呼んだりしている。
 小雪(嵐山小雪)・・・チエの小学校同級生。舞妓を経て、芸者をしている。
 熱田順子・・・劇団の劇団員。小雪の中学の時の同級生。
 山村小五郎・・・順子の劇団の座長。

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 ※京都文化芸術会館
 京都における文化芸術活動の拠点として、京都府開庁100年記念事業により、1970年に開館しました。
 400人収容のホールをはじめ、2つの大型展示室、会議室、和室、録音室などの設備があります。演劇・古典芸能・舞踊・音楽などの公演や発表、及び美術・工芸・書道などの作品展示に広く利用され、京都における文化芸術の創造・発信の中核施設として機能しています。J・B・プリーストリー原作の映画は、劇作家・内村直也によって翻案劇として俳優座で上演され、数々の劇団によって、公演されました。この翻案劇はテレビドラマ化もされています。

 午後6時半。上京区河原町通広小路。京都文化芸術会館。
 舞台「夜の来訪者」の会場が始まった。
 神代チエは、受付を手伝い、入場者を監視していた。
 午後7時。
 「夜の来訪者」が上演開始した。
 第1幕が終った。刑事役の「さてと・・・。」という台詞と共に。
 幕間。休憩時間。
 前から2列目の上手側の3席にいた若者達3人は、こそこそと相談をし、トイレに立った。
 15分の休憩が終り、第2幕が開始した。
 若者達は、大声をあげて妨害しようとしたが、それは敵わなかった。
 若者達の後ろの席に陣取った小町と小雪が、後ろからバスローブを被せて、小町が後頭部を叩いて気絶させたからである。
 1時間後、終演し、出演者達が幕の前に集合して、お決まりの『カーテンコール』が始まった。
 私服の茂原と、刑事二人が若者達3人に手錠をかけ、連行した。
 午後10時。河原町署。取り調べ室。
 茂原刑事が取り調べをしている。
 「無茶苦茶ですよ、刑事さん。受付の女の子が、我々が声援を送ろうとしたら、バスローブかけて、気絶させて。逮捕する相手は、あいつらですよ。」
 「ふうん。ほな、『よい刑事』は退場やな。警視、後頼みますわ。帰って晩飯食おう。」
 茂原は退場し、墨でPCに向かっていた女性警察官が言った。
 3人の目の前に現れた女性警察官は、言った。
 取り調べ室の外。男達の悲鳴が聞こえた。
 茂原は、フフッと笑った。
 東山署の署長神代と副署長船越は、ひそひそ話をした。
 「ストーカーはイカンアカンやろ。」「そうです。まして公演の妨害は、威力業務妨害ですな。」
 「ほな。署長、副署長、お先に失礼します。」「ん、ご苦労さん。」
 翌日。午後2時。京都文化芸術会館。
 搬出作業が終った、劇団座長山村は言った。
 「ありがとうございます。これで、安心して芝居に取り組めます。迷惑行為をされても、普通は泣き寝入りです。熱田君は、いい同級生がいた。」
 「小雪ちゃん、小町さんもお元気で。助かりました。これで吹っ切れます。」
 順子も頭を下げた。
 トラックを見送った後、小雪は「小町ちゃん。どないしてイジメたん?」と尋ねた。
 「一生、反省して貰うようにしただけ。『半玉』でも子供は作れるけどな。」
 「オムライス、食べに行かへん?ちょっと、変わった店やねん。」
 「行こう行こう。」ミニパトの女性警察官が呆れて見ていた。
 ―完―