========== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。
神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。
茂原太助・・・東山署生活安全課警部補。
船越栄二・・・東山署副署長。チエを「お嬢」と呼んでいる。
白鳥純一郎・・・チエの許嫁。京都府警勤務の巡査。実は、大前田警視正の息子。母の旧姓を名乗っている。
小雪(嵐山小雪)・・・チエの小学校同級生。舞妓を経て、芸者をしている。
子鹿・・・小雪の仲間の芸者。
中町圭祐・・・下鴨署からの転勤。巡査部長。
=====================================
※北野天満宮は、天暦元年(947)に創建された、全国に約1万2000社ある天神社・天満宮の総本社。平安時代に学者・政治家として活躍した菅原道真公を御祭神とし、現在は学問の神様としての信仰が厚いため、多くの受験生らが参拝に訪れる。国宝である御本殿は豊臣秀頼公が造営したもので、八棟造と称される絢爛豪華(けんらんごうか)な桃山建築。毎月25日の縁日では宝物殿の特別公開が行われ、境内には多くの露店が立ち並んでにぎわいを見せる。また、梅と紅葉の名所としても名高い。
午前9時。東山署。会議室。
芸者ネットワークのホットラインが鳴った。
民間会社とのホットラインは、本来ならあり得ないことなので、府警の大前田と東山署の捜査員以外は知らないルートの『タレコミ情報』だ。
副署長の船越が出た。
「署長、事件です・・・じゃなくて、年始の挨拶です。」
「あ、替わるわ。」IP電話を受け取った神代は、電話に向かってお辞儀をした。
「いつもお世話になります。元日くらい、犯罪ゼロにしたいですな。」
数分間、社交辞令をした署長は、IP電話を切った。
このIP電話は、芸者ネットワークの代子から提案のあったものだ。
費用は、普通の固定電話やスマホより格段に安くつく。会計も「言い訳」がつく。
午前9時。平安神宮。
京都の初詣ランキングは、常勝1位の平安神宮を初めとして、伏見稲荷大社、八坂神社、石清水八幡宮、下鴨神社、貴船神社、上賀茂神社、金比羅神社、北野天満宮、清水寺とベスト10が続く。
チエが白鳥と平安神宮に初詣に来ていると、北野天満宮から救助要請が来た。
いや、正確に言うと、金比羅神社に初詣に来た小雪と、仲間の芸者からチエのスマホに電話があったのだ。
「チエちゃん、助けて。」
正月衣装?のまま、白鳥のバイクでチエは北野天満宮に急いだ。
交通渋滞はあったものの、白鳥は30分で到着させた。
午前9時30分。北野天満宮。
駐車場に着くと、所轄署の警察官と警備員が待機していた。
「現場は、奇縁氷人石です。」
奇縁氷人石とは、境内茶室松向軒庭内にある。高さ約1メートルの石造角柱。頭部を欠くが表面に『奇縁氷人石』と刻し、右側側面に「たづぬる方」、左側側面に「おしゆる方」とある。
2人が、石の所に辿り着くと、3人の外国人が、石を引っこ抜こうとしていた。
野次馬と化した観光客の前に、小雪と小鹿が芸者姿で立って震えている。
見物している観光客は笑っている。抜けないと思ったからだ。
ところが、外国人達は力が強く、もう1センチ程浮かしている。
チエは言った。
"A Curse Will Occur(たたりが起こる),The Devil Pops Out(悪魔が飛び出す)Are you ready? (覚悟は出来てるのか?)”
外国人3人は、ゆっくりと『奇縁氷人石』を降ろした。
そして、直ちに逮捕連行された。
京都は国宝や歴史的建造物が多い。外国人にはただの石柱に見えたかも知れないが、実はそうではないのだ。
正午。東山署。取り調べ室の外。
廊下まで、外国人達の『英語の』断末魔の様な声が聞こえていたが、ピタっと止み、チエが出て来た。
待っていた茂原と中町が入って行く。
小雪が言った。
「お汁粉食べに行こ。」「せやな。」
チエと白鳥と小雪の3人は連れだって出て行った。
―完―
============== 主な登場人物 ================
戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。
神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。
茂原太助・・・東山署生活安全課警部補。
船越栄二・・・東山署副署長。チエを「お嬢」と呼んでいる。
白鳥純一郎・・・チエの許嫁。京都府警勤務の巡査。実は、大前田警視正の息子。母の旧姓を名乗っている。
小雪(嵐山小雪)・・・チエの小学校同級生。舞妓を経て、芸者をしている。
子鹿・・・小雪の仲間の芸者。
中町圭祐・・・下鴨署からの転勤。巡査部長。
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※北野天満宮は、天暦元年(947)に創建された、全国に約1万2000社ある天神社・天満宮の総本社。平安時代に学者・政治家として活躍した菅原道真公を御祭神とし、現在は学問の神様としての信仰が厚いため、多くの受験生らが参拝に訪れる。国宝である御本殿は豊臣秀頼公が造営したもので、八棟造と称される絢爛豪華(けんらんごうか)な桃山建築。毎月25日の縁日では宝物殿の特別公開が行われ、境内には多くの露店が立ち並んでにぎわいを見せる。また、梅と紅葉の名所としても名高い。
午前9時。東山署。会議室。
芸者ネットワークのホットラインが鳴った。
民間会社とのホットラインは、本来ならあり得ないことなので、府警の大前田と東山署の捜査員以外は知らないルートの『タレコミ情報』だ。
副署長の船越が出た。
「署長、事件です・・・じゃなくて、年始の挨拶です。」
「あ、替わるわ。」IP電話を受け取った神代は、電話に向かってお辞儀をした。
「いつもお世話になります。元日くらい、犯罪ゼロにしたいですな。」
数分間、社交辞令をした署長は、IP電話を切った。
このIP電話は、芸者ネットワークの代子から提案のあったものだ。
費用は、普通の固定電話やスマホより格段に安くつく。会計も「言い訳」がつく。
午前9時。平安神宮。
京都の初詣ランキングは、常勝1位の平安神宮を初めとして、伏見稲荷大社、八坂神社、石清水八幡宮、下鴨神社、貴船神社、上賀茂神社、金比羅神社、北野天満宮、清水寺とベスト10が続く。
チエが白鳥と平安神宮に初詣に来ていると、北野天満宮から救助要請が来た。
いや、正確に言うと、金比羅神社に初詣に来た小雪と、仲間の芸者からチエのスマホに電話があったのだ。
「チエちゃん、助けて。」
正月衣装?のまま、白鳥のバイクでチエは北野天満宮に急いだ。
交通渋滞はあったものの、白鳥は30分で到着させた。
午前9時30分。北野天満宮。
駐車場に着くと、所轄署の警察官と警備員が待機していた。
「現場は、奇縁氷人石です。」
奇縁氷人石とは、境内茶室松向軒庭内にある。高さ約1メートルの石造角柱。頭部を欠くが表面に『奇縁氷人石』と刻し、右側側面に「たづぬる方」、左側側面に「おしゆる方」とある。
2人が、石の所に辿り着くと、3人の外国人が、石を引っこ抜こうとしていた。
野次馬と化した観光客の前に、小雪と小鹿が芸者姿で立って震えている。
見物している観光客は笑っている。抜けないと思ったからだ。
ところが、外国人達は力が強く、もう1センチ程浮かしている。
チエは言った。
"A Curse Will Occur(たたりが起こる),The Devil Pops Out(悪魔が飛び出す)Are you ready? (覚悟は出来てるのか?)”
外国人3人は、ゆっくりと『奇縁氷人石』を降ろした。
そして、直ちに逮捕連行された。
京都は国宝や歴史的建造物が多い。外国人にはただの石柱に見えたかも知れないが、実はそうではないのだ。
正午。東山署。取り調べ室の外。
廊下まで、外国人達の『英語の』断末魔の様な声が聞こえていたが、ピタっと止み、チエが出て来た。
待っていた茂原と中町が入って行く。
小雪が言った。
「お汁粉食べに行こ。」「せやな。」
チエと白鳥と小雪の3人は連れだって出て行った。
―完―


