「このバッグには、とっても大事で、私の力になるものだけ入れているんだ。すごく心細くなったり、悲しくなったり、ショックを受けたりした時に力になるものばかり入れてるの。まぁ、今のところ、この、お母さんが残してくれた手紙しか入れてないんだけど。」

「へぇ・・・」

灯利は、意味深な余韻を残した返事をした。


「あ、ひあめ、ちょっと待っててね。」




と、言ってから灯利は、いそいそと部屋の奥に消えていった。





しばらくしてから、戻ってきた灯利はなぜかソワソワしていた。
「何やってたの?」


「いや、その・・・・・・ひあめを送ろうと思って外に出るために身だしなみを整えただけ!」

「そう?送ってくれるの?私、それなら帰ろうかな・・・・・・心配してるだろうし。」


あえて、“お父さん”が心配している、とは言わなかった。