私は一度気持ちを切り替えて、ベッドから起き上がり、クローゼットから洗剤の匂いがする、真新しい制服を引っ張りだした。

白いワイシャツに赤いリボンを結び、予め短くしておいた、リボンと同じ色のスカートを履き、仕上げにマーガレット色のカーディガンを羽織った。

窓から見える桜は全部散ってしまったけど、散った桜が道沿いに絨毯を敷いていた。


今の私には、雨水や泥に汚れた桜でさえ、うらやましいと思う。
だって、桜は雨水や泥に汚れてもまだピンク色がきれいで。

むしろ汚れが残ったきれいなところを引き立てて、目立ってる。

…だけど私の心は、些細な言葉に傷つき、少し心が汚れたどころか、全部真っ黒に染まりきって、きれいなところを残せなかった。残ってなかった。

…まぁ、もともと私の心にきれいなところなんてきっと残ってないと思うけど。