春なのに、妙に生暖かい風が吹き込んできて、その風のぬるさに、思わず眉を(ひそ)めた。

その風は、ほのかに夏の香りが香って、夏を予告させるようなその匂いがさらに私の気持ちを不快にさせる。

私は夏が大嫌い。別に、夏そのものが嫌いなんじゃない。
だけど、夏は私の人生を崩すきっかけがあった季節だから嫌なんだ。


せっかく清々しい気分で新たな学年を迎えようと思ってたのに・・・・・
ちょとがっかりだ。
・・・・・なんて、言い過ぎかな?

だけど、本当にあの時は苦しくてたまらなかった。
だけど、お母さんの遺志を残してあげることも大事だと思って、あの辛さに一生懸命耐えていた。

私は、親孝行な子になりたくて。
だけど、せっかくお父さんが勧めてくれて、私が入ってみたいといったらすぐに塾まで手配してくれて、合格できた高校に行かせてもらえてるのに、今は暗く沈んだ気分だなんて、全然親孝行じゃないや。