その時、ベンチに置いてあった私のスマホが震えた。

ゲームアプリの着信みたいだ。って!!

もう、こんな時間。見えたディスプレイから衝撃的な時間を知った。

「ご、ごめん、私、帰らなくちゃいけない、・・・かもしれない」

意味不明な言葉を付け足してしまって、これが蛇足っていうことなのか、と妙に冷静に自分の言葉を分析してしまった。

「あ、ほんと?帰る?じゃあ、またね。あ、メール繋いどく?」

「え・・・あ、はい!」

私は慌ててメールアプリを開く。
わたしの連絡先に、灯利の名前が追加された。

アイコンは真っ黒。

「え、なんでアイコン真っ黒なの?」

「だって、黒って綺麗じゃん。ひあめのアイコンはかわいいね」

ひあめって呼び捨てにされることに緊張してしまう。

「う、うん。そうだね。」

私のアイコンは、ピンク色に輝く雲の写真。結構前にたまたま撮った、夕焼けの写真をアイコンにしたんだ。


私の気持ちは、アイコンにしてるピンク色の、わたあめみたいな雲みたく、ふわふわしてて、心の中が甘くて幸せだった。