「ところで、お名前を教えてくれませんか?」

男の子は、いかにも不思議そうに首を傾げた。
その仕草は、小動物みたいに可愛らしい。

「わ、私は神楽ひあめと言います。・・・・よかったらひあめって呼んでください」

呼び捨てを願った時、すごく心臓がドキドキした。初対面の人に呼び捨てを願うとか、私はしたことなかったから。
相手が呼び捨てしてくるときもあったけど、そう言う時は馴れ馴れしくってイヤだな、って思ってた。

だけど今は、違う。

「僕は、川戸(かわと)灯利(ともり)って言います。16歳の高校一年生。灯利って呼んで。あと、タメ語で話してくれたら嬉しいな!」

「わたしも高校一年生だよ。ちなみにどこの学校?」

「秘密」

私の質問に、灯利さん、じゃなかった、灯利はいたずらっぽく微笑んだ。