暗い中でも、男の子の姿が、まるで浮かび上がってるみたいにくっきりと見えた。

男の子の瞳が、光を集めてきらきら光ってる。

「ほんとうにごめんなさい・・・っ」

男の子が頭を下げたと同時に、男の子が肩にかけていた通学かばんが落ちた。

チャックが開いていたのか、中からノートや教科書たちが溢れて、ノートがちょうど開いて、その几帳面な文字が目に入った。

綺麗な文字で、達筆で。事細かに書かれた数式が、彼が真面目なことを表していた。


・・・・・って、見惚れてる場合じゃないっ!
わたしは我に帰り、慌ててノートと教科書を拾い上げ、かばんに入れて男の子に返した。


「すごいですね。」

気づいたら、口からこぼれ出ていた。

「え?」

「あの、ノート。すごく真面目に書いてあったから」