その時、ぐいっと、
「あの!」

という声とともに肩をおもいっきり後ろに引っ張られた。

「きゃあっ!」

慌てて振り向くと、そこにはさっきスーパーで後ろに並んでた男の子がいた。
男の子はびっくりしたように一瞬目を大きく見開いた。それから慌てて頭を下げた。

「ご、ごめんなさい」

「な、なんですか?」
私は警戒心を隠さず硬い声で問いかけた。

「あの、さっき落としてましたよね・・・?」

そういって差し出したのは、あの時拾うのを諦めた500円玉だった。

「だ、だから私のことを追いかけてたの・・・・?」


「はい、すみません・・・・声をかけるタイミングがわからなくて・・・・」

男の子は申し訳なさそうにか細い声で言った。


「わざわざありがとう」