さようならを言わなくちゃ

「え~怜奈昨日寝てないの⁉」
「課題終わんなくて! マジ最悪」
「今日授業寝ちゃうんじゃね?」
「てかもう今すぐ寝れそうだもん」
 翌日登校すると、二人は私の机の周りで雑談をしていた。
 どうしよう。なんとか朝礼までやり過ごすか。
「あ、りんりん! おっはよー」
 りんりん⁉ 
 戸惑ったが、周りの視線が痛かったためすぐに席へ向かった。
「りんりんって……」
「花梨のりんに決まってんじゃん! かわいくね?」
「私はかりんとうがいいと思ったんだけどなぁ」
「ないない、ありえない」
 何やらすごく楽しそうだけど、私は別のことで頭がいっぱいだった。
 気づいている。みんな、「なんであいつがあの二人と?」って顔してる。
 そりゃそうだろう。私だってよく分かってないんだから。
「そういえば、りんりんもたまに寝てるよね」
「え?」
「ほら、授業中。特に国語とか」
「たしかに! 天才でも寝るんだ~って思ったもん」
「あれは眠い授業する山田が悪いよな」
「マジでそれな!」
 そんなとこ見られてたの……? バレてないと思ってたのに。
 なんだか恥ずかしくて何も言えなくなってしまった。
 でも、うれしい。
「ん? りんりん、なんでちょっとニヤニヤしてんの」
 誰の気にも留まってないと思ってたのに。
「私のこと見てくれてたんだなって、なんかうれしくなっちゃって」
 無言の時が流れる。
 まずい、なんか気持ち悪いことを言ってしまった気がする。
 なんとかしないと嫌われちゃうかも。
「あ、あの……」
「結構かわいいこと言うじゃん」
 めぐみは穏やかな顔で私を見つめる。
 なんだか、温かい。