ねぇ、基。

 あのお店に行ってみない?

 新しくできたカフェなんだって。

 この前飲んだアップルティもすっごくよかだたけど、また新しいお店を開拓しなくっちゃ。

(あなたと一緒に、いろんなところに行きたい)

 ああ、あのとき、基樹はなんて答えたんだっけ?

 今ではそれさえも思い出せない。

 わたしは、何にも彼のことを見ていなかった。

 でも……それでも、ずっとずっとふたりで一緒に温かいお茶を飲んで笑いあう、そんな穏やかに過ごす時間が続くのだと思って疑わなかった。

 いつまでもいつまでも。