「ねえ、藤宮さん。それ、終わった？」


頼まれたパンフレットのラフを考えながら、ぼーと窓の外を眺めているとクラスメイトの女子が話しかけてきた。


「あ…ご、ごめんなさい。まだ終わってなくて…」

「印刷とかもしないとだから、早く終わらせてよねー」

「ごめんなさい…」


もう一度小さく謝りながら俯いていると、女子が去っていくのを感じた。

女子は友達らしき人のところへ行くと、私をチラッと振り向きながら何かを話していた。

きっと、馬鹿にされているだろうということは彼女たちの浮かべている意地悪な笑みから想像できた。


そもそも、誰もやりたがらなかったパンフレットの表紙を任せてきたのも彼女たちだった。

私になら何を頼んでも、何を言ってもいいんだと勘違いをしているのだ。

私はそういう人間だから。


世の中平等に、なんて綺麗事は一体誰が考えたのだろう。

そんなのが成立するのなら、スクールカーストなんてこの世に存在しない。

下の人間を馬鹿にして嘲笑って、そうすることでしか上の人間は上にいられないのだから。