「俺も知ってる。てかその話で劇やるなら、主人公俺が立候補したいんだけど」


机に頬杖をつきながら片手を上げた西園寺くんに、クラス中がいっそう騒がしくなる。


「え、西園寺くんが主役!?」

「まあ主役やるなら一樹しかいないとは思ってたけど、まさか自分から立候補するなんて…」

「もうこれで決定にしよ!異論ある人いないよね!?」


大アリです、なんて言えるはずもなく、なぜか私の小説を読んでくれているらしい西園寺くんに主演が決定してしまった…。


住む世界の違う私たちを、私の小説が繋いでくれていたとはこの時の私はまだ知る由もなかった。