物語はヒロインの一方的な片想いから始まり、学校イベントと掛け合わせて切ない展開を繰り広げている。


実はヒロインを自分と当てはめて書いているのがこの小説。

何の取り柄もなくて自分に自信なんてこれっぽっちもない、そんな空っぽな私をこのヒロインと当てはめることで、最終的にはヒーローと結ばれるそんなハッピーエンドを迎えて救われたいという思いからこの物語が紡がれている。

今は切ない片想いで読者を騒がせているけど、この物語は最初からハッピーエンドが決まっているのだ。

現実の私とは違って。


「文化祭の出し物について、何か案がある人は手を上げて教えてくださーい」


学級委員長をやっている大場茜(おおばあかね)ちゃんの掛け声で、ホームルーム中だったクラスがざわっと騒ぎ始めた。

今日は一ヶ月後に迫っている文化祭の案出しでホームルームが行われている。

私たちのクラスは多数決で劇をやることが決まっていたが、まだ何の劇をやるかは案が難航していた。

もう他のクラスは準備に取り掛かり始めているため、早くしないとかなり出遅れてしまうだろう。


「シンデレラとかもいいけど、もっとみんなが見たことない劇やりたいよねー」

「自作ってこと?でも今から作ってる時間あんの?」

「誰か脚本書けんのかよー?」


隅っこの席でじっとしながらクラスメイトたちの会話を聞いていると、ふと前に立っていた茜ちゃんと目が合った。