この物語はまだ完結していない。

まるで、私の気持ちを映しているかのように今もまだ、未完成のまま…。



「おい、一樹(いつき)!その靴ってもしかして、あの有名なブランドの新作じゃね!?」

「本当だ!まだ発売日前で画像でしか見たことのない靴を、なんで一樹が履いてるの?」

「ばーか、おまえ、相手はあの一樹だぞ?父親も母親も超有名なあの高級ブランドの社長である西園寺(さいおんじ)一樹に手に入れられないものなんてねぇの!」


西園寺くんは見るからに高級そうなスニーカーをまるで見せつけるかのように長い足をクロスさせていた。

その顔には「だろ?」とでも言いたげにドヤ顔が決まっている。


「ここのブランドの社長がうちの父親と知り合いで、昔から交流のある人なんだ。そのおかげで発売日前にもらったわけ」

「はーさっすが一樹だな!」

「今日も西園寺くん最高にかっこいい〜」


センター分けの黒髪を華麗に掻き上げる西園寺くんに、クラスメイト(女子)たちのハートを含んだ悲鳴が上がる。


西園寺一樹くん。

家は超がつくほどのお金持ちで、少し傲慢な性格がたまに傷ではあるけど、それを補えるくらいの完璧に整った顔立ち、勉強もスポーツも何においても一番を軽々と取ってしまう出来すぎた完璧人間。