青島くんの言葉に、私は思わず目を大きく見開いた。そんな私に、青島くんは爽やかな笑顔を見せる。
「今日のところは、白野の気持ちが落ち着くのを待った方がいいかなと思って。戦略的撤退ってやつさ」
少し戯けて肩をすくめた青島くんの姿に、思わずクスリと笑ってしまう。自分の気持ちを押し付け過ぎず、相手のことを思える彼のそんなところが、やっぱり素敵だなと思う。
「まぁ、ゆっくり考えてよ。俺、待つからさ」
青島くんはそう言って、止めていた足を再び動かし始めた。私は、もう一度小さく深呼吸をすると、少し先に行ってしまった彼の背中をパタパタと追いかけた。
「あの。ありがとう」
青島くんに追い付き、そう小さく言うと、彼も「うん」と小さく頷いた。そのあとは、沈黙が二人の間をゆったりと流れていった。それは決して息苦しいものではなく、むしろ、ただ一緒に歩いているだけだというのに、私の心はポンポンと飛び跳ねるように弾んでいた。
しばらくして、ふとあることが気になった。
「あの、青島くん? 聞いてもいい?」
「うん?」
私の問いかけに、青島くんがのんびりと反応した。
「いつから、その……私のことを?」
気になって聞いてみたものの、言葉にした途端、また心臓がドキドキと鳴り出した。なんだか顔も体も熱い。突然居心地が悪くなった気がしてモジモジとしていると、そんな私を見て、青島くんはニヤリと笑った。
「いつからだと思う?」
質問に質問で返され、私は目をパチパチと瞬かせてから、首を捻った。
「う〜ん。私たちが出会ってそろそろ1年くらいでしょ。その間で私が印象的だなと思っているのは、怪我をした時に助けてくれたこと、木本さんに絡まれた時、それから、あのコンビニの夜なんだけど……」
「ああ。俺も、どれも全部覚えてる」
私の言葉に青島くんが懐かしそうに相槌を打つ。
「そうだなぁ? 青島くんが私のことを気になり出したのは、秋のあのコンビニの日くらい?」
「なんでそう思うんだ?」
「ほら。男の子は女の子の涙に弱いって言うじゃない? あの時、私、確か泣いてたと思うし」
閃いたとばかりに、人差し指を一本立て得意気にそう言った私を、青島くんは可笑しそうに笑う。
「あはは。なんだその理由。お前、いろいろ鈍いのに、そう言うことは知ってるんだな」
豪快に笑われて、思わず顔が赤くなる。それを隠すように青島くんから顔を背けて、少し唇を尖らせた。
「何よ。鈍いって。もう! 聞くんじゃなかった」
「今日のところは、白野の気持ちが落ち着くのを待った方がいいかなと思って。戦略的撤退ってやつさ」
少し戯けて肩をすくめた青島くんの姿に、思わずクスリと笑ってしまう。自分の気持ちを押し付け過ぎず、相手のことを思える彼のそんなところが、やっぱり素敵だなと思う。
「まぁ、ゆっくり考えてよ。俺、待つからさ」
青島くんはそう言って、止めていた足を再び動かし始めた。私は、もう一度小さく深呼吸をすると、少し先に行ってしまった彼の背中をパタパタと追いかけた。
「あの。ありがとう」
青島くんに追い付き、そう小さく言うと、彼も「うん」と小さく頷いた。そのあとは、沈黙が二人の間をゆったりと流れていった。それは決して息苦しいものではなく、むしろ、ただ一緒に歩いているだけだというのに、私の心はポンポンと飛び跳ねるように弾んでいた。
しばらくして、ふとあることが気になった。
「あの、青島くん? 聞いてもいい?」
「うん?」
私の問いかけに、青島くんがのんびりと反応した。
「いつから、その……私のことを?」
気になって聞いてみたものの、言葉にした途端、また心臓がドキドキと鳴り出した。なんだか顔も体も熱い。突然居心地が悪くなった気がしてモジモジとしていると、そんな私を見て、青島くんはニヤリと笑った。
「いつからだと思う?」
質問に質問で返され、私は目をパチパチと瞬かせてから、首を捻った。
「う〜ん。私たちが出会ってそろそろ1年くらいでしょ。その間で私が印象的だなと思っているのは、怪我をした時に助けてくれたこと、木本さんに絡まれた時、それから、あのコンビニの夜なんだけど……」
「ああ。俺も、どれも全部覚えてる」
私の言葉に青島くんが懐かしそうに相槌を打つ。
「そうだなぁ? 青島くんが私のことを気になり出したのは、秋のあのコンビニの日くらい?」
「なんでそう思うんだ?」
「ほら。男の子は女の子の涙に弱いって言うじゃない? あの時、私、確か泣いてたと思うし」
閃いたとばかりに、人差し指を一本立て得意気にそう言った私を、青島くんは可笑しそうに笑う。
「あはは。なんだその理由。お前、いろいろ鈍いのに、そう言うことは知ってるんだな」
豪快に笑われて、思わず顔が赤くなる。それを隠すように青島くんから顔を背けて、少し唇を尖らせた。
「何よ。鈍いって。もう! 聞くんじゃなかった」



