小さくなる彼の背中に向かって、もう一度ありがとうと言って私は、自宅へと戻る。

 なにが現実で、なにが真実なのかは、全てが終わればはっきりするはず。今の私には、双子Noel(ノエル)がそばにいること、それが現実。

 フリューゲルを哀しませない。

 そう自分に言い聞かせ、明るい笑顔で自室のドアを開ける。

 「おかえり、アーラ」と聞こえるはずと、どこかで期待していた声は、しかし、私を迎えてはくれなかった。

 「フリューゲル、どこ?」

 彼を呼んでみるが、返事がない。

 「フリューゲル! フリューゲル!」

 私が話したいと思ったときはいつでも話せると言っていたくせに、フリューゲルは、どんなに呼んでもさっぱり反応をしてくれない。

 一体、どこへ行ってしまったの? フリューゲル。