透明なトライアングル

 「響は、私の事、なんて?」

「いやぁ、出てくるエピソードが全部、女子ですか?って言いたくなるようなやつばっかりで、驚いてさ。なんか、家のベランダから飛んでみたら骨折ったとか、コンセントにハサミ近づけて感電死しそうになったり、男と殴りあいの喧嘩したとか、あれ全部まじ?」

どれだけ、伊織に私の事を話しているんだろうか?本当に恥ずかしくて死にたかった。

 「その様子はまじなんだな?面白いなぁって、どんどん興味わいてさ。響にせがんでまで、お前の話し聞いてたよ。でも、響は詩歌みたいになりたいってずっと言ってた」

 「響が?何で私?」

響にそんな事を言われた事は一度もなかった。
むしろ、私は何でも出来る響に憧れていた。

 「いい子でいない勇気があるって。
響は面倒だから、大人の言う事に従って自分の意見を言ったり思った事を言ったりは出来ないって言ってた。けど、詩歌は自分があるって。他人に合わせたりしない、自分自身をしっかり持ってるからって。だから憧れるんだって言ってたよ」

 「響、そんな事思ってたんだ、、、」

いつも完璧な響は、演じていただけで本音は別にあったんだろう。ただあの観覧車の中でだけは、取り繕わないで素直な気持ちを伊織に話せていたから、救われて伊織の事が好きだったのかもしれない、、、。

 「でも、突然響と連絡がとれなくなって、ニュースで、響が事故にあって亡くなった事を知ったんだ」

伊織が寂しそうな顔をして、目線を下へおろした。響は伊織にとってもきっと大切な人だったんだろう。

 「不思議な事があってさ。響とはいつもメッセージだけでやり取りしてたのに、響が事故にあう前日に、急に俺に電話してきたんだよ」

「電話、、、?」

 「そう。特に用事があったわけじゃなかったんだけど、いきなり電話をしてきて『伊織君にお願いがあるんだけど』って」

その時、また海から強い風が吹いて近くの木々の葉っぱを大きく揺らした。

 『もしね、万が一、私に何かがあった時に詩歌の事助けてあげてほしいの。
 詩歌、いつも強がるけど凄く繊細で弱い子なの。私がいなくなったらきっと、一人でお母さんを支えて潰れちゃう。だから、伊織君お願いね。私、お小遣い全部伊織君にあげたでしょ?』

何それ、、、。

それじゃあ、まるで響は自分が事故にあうことわかっていたみたいじゃない?

 「俺いきなりそんな事言われてびっくりしてさ。なんで俺が?って、、、。でも本当に翌日響は事故にあったから、何か感じているものがあったのかなって。っていうか、響は詩歌の事好き過ぎるんだよ。お前達両方ともシスコンすぎる!」

伊織の言う事に間違いなかった。
私達は、普通の姉妹以上にお互いの存在が近過ぎて依存し合っていたのかもしれない。

 だから、響にはわかったんだろう、
自分のいない未来で、自分の代わりが出来るのは伊織しかいないって、、、。