透明なトライアングル

 「詩歌、次、野球部の撮影いくか」

私は放課後、隣りのクラスの学級委員の子と部活をまわって写真を撮っていた。

 隼也(しゅんや)は小学校の時から同じ学校なので、知った間柄だった。
部活動紹介の記事で、私達は県大会に勝ち残った部活の写真を撮ってまわっていた。

 「詩歌、バスケ部入んないの?今年の女バスそこそこ強いんじゃない?」

隼也は、男子バスケ部で、小学校のミニバス時代からよく一緒にバスケをやっていた。
隼也は、百八十を超える高身長で、バスケ部のエースだった。

 「今、ちょっと悩んでる。入りたいなぁって。やっぱりバスケ好きなんだよね」

今は須田さんも毎日のように家にきてくれていたので、部活動もしようと思えば出来る環境だった。
 "もう一度バスケをやりたい"その気持ちは強かった。

 「まあ、響がいなくなって大変だったろうけど、ブランクなんてすぐ取り戻せるよ。詩歌の切り込みドライブはやばかったからな」

「小学生の時よく、一対一やったよね?あの時は勝てたけど、今は隼也が背が高いし無理だろうなぁ、、、」

 「やって見る?」

隼也が、ちょうど目の前にあった校庭のバスケコートを指差していった。

 「いいの?やろう!」私はすぐに返事をして、隼也と久しぶりに一対一をした。
昔はお互いに負けず嫌い過ぎて、よく喧嘩になった事を思い出した。
それこそ取っ組み合いの喧嘩をよくしていたが、隼也はあの時は私と身長が変わらなかったのに、いつの間にか、こんなに大きくなっていた。

 ニ人で、一対一をしていると、やっぱり隼也には敵わなくなっていた。けれど私は楽しくて、何度も隼也に相手をしてもらっていた。

 「やばい!疲れた!」

「えー!もう一本やろうよ!私まだ動ける!」

「体力どうなってんだよ、やっぱり詩歌、緩急の付け方上手いなぁ、よく抜かれるわ」

「全然じゃん!殆どブロックされてる!」

「あのなぁ、俺は現役だからな?」

その時、私がシュートをしようとしたのを、隼也がブロックしたので、私が大勢を崩して尻餅をついて笑っていると、隼也が手を差し伸べて、私を立たせようとした。隼也の手を握った時、後ろから声がした。

 「詩歌!」振り向くと、伊織がいて突然私の手を引っ張った。

 「伊織?何?」私は伊織に引っ張られながら、学校の外まで連れ去られていた。

 伊織はずっと無言で、私の手を引いていた。
どこまで行くのかよくわからないが、私はジャージのままだったし、荷物も教室に置きっぱなしだった。