透明なトライアングル

 「詩歌、弁当どれにする?沢山あって悩むなぁ、、、」

伊織が帰りの電車で食べるお弁当を、悩みながらあれこれ選んでいた。私は一人で考えごとをしていると、伊織が私の頭を軽くぽんっと叩いてきた。

 「聞いてる?何ぼーっとしてんだよ、朝から変だぞ?」

「ああ、、、別に。そんな事ないけど、私はもう決めた!」

私は自分が自分で思っていたよりショックを受けている事に驚いていた。
これ以上、伊織と響の昔の事を深掘りする気はなかった。ニ人が私に内緒にしていたいと思っていたなら、私はそれを受け入れようと思っていた。

 ただ、聞きたかった。伊織は私の事どう思っているんだろうか、、、。
信じられないくらいに、そんな事を聞く勇気を私は持ち合わせていなかったが、、、。

 私が響に敵うとは、到底思えなかった。
今までだって、友達も、母でさえも、私より響を選んできた。

 考えていたらどんどん、どつぼの思考にハマっていた。

 「唐揚げもらいっ!」

電車でお弁当を食べていると、伊織が私の唐揚げを一つ口にいれた。
私が何も言わずに、伊織の顔を見ていたら、伊織が変な顔をしていた。

 「やっぱりお前変じゃない?体調でも悪いの?」

「、、、いや?そんな事はないけど、、、。
ねえ、伊織?伊織は誰か好きな子がいるの?」

緊張して心臓がバクバクしていた。伊織は急にそんな質問をされても、ポーカーフェイスで少し考えていた。

 「俺に質問するなら、まず詩歌から答えなきゃな?はい!好きな人がいるんですか?」

私はまさか自分が聞かれるとは思っていなかったので、慌てて何て言ったらいいかわからなくなった、、、。

 「まぁ、、、いるかもしれない」

「へえ、誰?」

「誰?それを聞くの?、、、ちょっとプライベートなんで、、、」

「プライベート以外ないだろうが、お前シスコン発動して、響とか言うなよ?」

伊織から"響"の名前が出ただけで、どきっと心臓が跳ねた。

 「違うって、伊織は知らない人だから。ほら、同じ中学で、今は違う高校の子だから」

私は咄嗟に嘘をついて誤魔化した。伊織は頬杖をついて、意味ありげに私の顔を見ていた。

 「へぇ、どんな奴?」

「どんな奴?、、、まあ、こうシュッとして?背が高くて、かっこいい感じの?うん。イケメン、イケメンな感じだね?」

私は適当に言ってみたが、頭には誰も浮かばなかった。

 「俺よりも?」

「、、、うん?、、、うん」

「へぇ〜、、、」

なんだか変な空気になってしまい、それ以上この話しは続けられなかった。