私と、小池さんは別々に先生に呼び出されて事情を聞かれた。私は素直に全部あった事を話し、小池さんはどう先生に話したかはわからなかった。
先生は、昨日の小池さんとの喧嘩は興味がないらしく、私の母の事を詳しく聞かれた。
昨日の普通じゃない私の母の様子を見て、まずいと思ったのか、それとも母親から存在を抹消された私を可哀想だと思ったのか、かなり同情的だった。
クラスに戻ると、他の生徒も「お母さんかなりやばかったよね。可哀想」だとか「響ってあの死んじゃった方だよね?ずっと名前呼んでなかった?ちょっと怖かった」と言いたい事を口々に言っていた。
私はそんな言葉を聞いても、もう何も感じなかった。心の感情の機能がオフになってしまったように、一人でただ曇り空を教室の窓から眺めていた。
周りのいつもと変わらない喧騒も、授業も、何もかも私と関係のない事に思えて、私は自分の机から動かずじっとしていた。
机の上で、私の油性ペンがコロコロと転がったので、私はそれを手に取ると自分の左手に文字を書いた。
何でそんな事をしたのか、自分でも理由が見当たらなかったが、ただ何となくぽんと出て来た文字だった。
私が一人で休み時間、机に顔を突っ伏しながら寝ていると、私の前の席に誰かが座った。
「起きろよ」声がして私が机から顔を上げると、伊織が私の前の席に座っていた。
私が何も言わずに、伊織の顔を無表情で見つめていると、伊織もそんな私を少し怒ったような顔で見ていた。
伊織にしては珍しく真面目な顔をしていた。
周りの女子が、私達に注目していたがそんな事もどうでもよくなっていた。
私が何も話さないでいると、伊織が私の左手を取って、手の平を広げた。
伊織は、私の左手の手の平に書いてある文字を見てはっとした顔をして私を見た。
そして、私の文字が書いてある左手を握ると
「行くぞ」と言って、私の手を取って走りだした。
私はびっくりして、何も言えずただ伊織についていった。伊織も何も言わずにそのまま教室を飛び出して、学校の外へ出ていった。
周りの生徒も驚いていたが、私も伊織の突然の行動に、わけがわからなかったが従ってついていった。
ずっと走っていたので、息がきれて苦しかった。それでも、伊織は海沿いの道まで私の手を取って走っていた。
「伊織!伊織!」
私は流石に伊織を呼び止めた。だいぶ息が上がっていたし、梅雨時期の湿気のある空気が蒸し暑かった。
「どうしたの?学校戻らないと授業始まるよ?」
私が息を整えながら伊織に言うと、伊織は私に向かって今日はじめて笑った。
「サボろうぜ」
「怒られるよ、戻らないと、、、」
「お前が俺に言ってきたんだろ?」
伊織がそう言って自分の右手の平を私に見せてきた。そこには私の左手の平に書いてあった文字が反転してうつっていた。
"タスケテ"
先生は、昨日の小池さんとの喧嘩は興味がないらしく、私の母の事を詳しく聞かれた。
昨日の普通じゃない私の母の様子を見て、まずいと思ったのか、それとも母親から存在を抹消された私を可哀想だと思ったのか、かなり同情的だった。
クラスに戻ると、他の生徒も「お母さんかなりやばかったよね。可哀想」だとか「響ってあの死んじゃった方だよね?ずっと名前呼んでなかった?ちょっと怖かった」と言いたい事を口々に言っていた。
私はそんな言葉を聞いても、もう何も感じなかった。心の感情の機能がオフになってしまったように、一人でただ曇り空を教室の窓から眺めていた。
周りのいつもと変わらない喧騒も、授業も、何もかも私と関係のない事に思えて、私は自分の机から動かずじっとしていた。
机の上で、私の油性ペンがコロコロと転がったので、私はそれを手に取ると自分の左手に文字を書いた。
何でそんな事をしたのか、自分でも理由が見当たらなかったが、ただ何となくぽんと出て来た文字だった。
私が一人で休み時間、机に顔を突っ伏しながら寝ていると、私の前の席に誰かが座った。
「起きろよ」声がして私が机から顔を上げると、伊織が私の前の席に座っていた。
私が何も言わずに、伊織の顔を無表情で見つめていると、伊織もそんな私を少し怒ったような顔で見ていた。
伊織にしては珍しく真面目な顔をしていた。
周りの女子が、私達に注目していたがそんな事もどうでもよくなっていた。
私が何も話さないでいると、伊織が私の左手を取って、手の平を広げた。
伊織は、私の左手の手の平に書いてある文字を見てはっとした顔をして私を見た。
そして、私の文字が書いてある左手を握ると
「行くぞ」と言って、私の手を取って走りだした。
私はびっくりして、何も言えずただ伊織についていった。伊織も何も言わずにそのまま教室を飛び出して、学校の外へ出ていった。
周りの生徒も驚いていたが、私も伊織の突然の行動に、わけがわからなかったが従ってついていった。
ずっと走っていたので、息がきれて苦しかった。それでも、伊織は海沿いの道まで私の手を取って走っていた。
「伊織!伊織!」
私は流石に伊織を呼び止めた。だいぶ息が上がっていたし、梅雨時期の湿気のある空気が蒸し暑かった。
「どうしたの?学校戻らないと授業始まるよ?」
私が息を整えながら伊織に言うと、伊織は私に向かって今日はじめて笑った。
「サボろうぜ」
「怒られるよ、戻らないと、、、」
「お前が俺に言ってきたんだろ?」
伊織がそう言って自分の右手の平を私に見せてきた。そこには私の左手の平に書いてあった文字が反転してうつっていた。
"タスケテ"



