透明なトライアングル

 そのあと、伊織がバイトで帰ってしまい、私は図書室で一人で校内新聞の記事を書いていた。
今日は須田さんが来てくれているので、私は学校でゆっくり時間を過ごす事ができた。

 ウミネコ島について調べていると、この辺りの歴史の本に、ウミネコ島に祀っている神様の話しがのっていた。
 ウミネコ島の辺りは、海流の影響で昔から船が転覆したりする海難事故が多かったそうだ。
 そこで、ウミネコ島に神様を祀って事故が起きないように祈ったらしい。あの神社には、海で亡くなった方の魂が神様として祀られていると書かれていた。

 穏やかそうなあの辺りの海だが、やっぱり何処でも事故はあったのだろう。そう言えば夏休み前に学校行事で、あの海岸で地引網をする事になっていたが、私は既に憂鬱だった。
 水は苦手だし、クラスでもこんな状況の中の行事は苦痛でしかなかった。

 私が一人でため息をついていると、図書室に誰かが入ってきた。

 「あっ、、、」

そう言って私の前で立ち止まっていたのは恵那だった。
 恵那は気まづそうな顔をして、私の方を見ていた。恵那とはもうしばらく話していなかった。

 「詩歌、、、ごめんね」

恵那が下を向いて小さな声で言ったので、私は思わず首を振った。

 「恵那は悪くないよ。私が小池さんと上手くやれなかっただけだし。気にする必要ないよ」

「でも、、、詩歌今辛いでしょ?クラスの女子全員から無視されて。女バスの子達、詩歌の悪い噂、他のクラスの子にも流してるし、しかも殆どない事ばっかしだし」

それぐらいはされているだろうと思っていた。
伊織の事を好きな子は他のクラスにもいるだろうし、そういう子も一緒になって私の悪口を言っているんじゃないかと思った。

 「いいよ。色々言われてるのはわかってたし。思ったより小池さんの影響力の大きさに驚いたけど」

「私、、、怖くて。何も出来なくて」

恵那の気持ちはわかっていた。私の味方なんかしたら、すぐにクラスでも部活でも目をつけられるだろう。私と仲良くする事は、今は凄くリスクのある事だった。

 「気にしないで。今、話しかけてくれて凄く嬉しかったよ。だから、私の事は気にしなくていいよ」

「本当にごめん、、、。私アンナちゃんみたいに強くなくて」

恵那の言う通り、アンナだけは女子のいざこざに我関せずで、私と仲良くしてくれていた。それについては、周りも何も言わなかったし、アンナには、そんな事でとやかく言わせないと言う、雰囲気があった。

 ある意味アンナは他の女子と一線を引いている感じだった。