透明なトライアングル

 次の日から学校へ行くと、小池さんの周りの女子はあからさまに私にきつい態度をとるようになった。
 自分で、しでかした事だから仕方ないが、私に聞こえるように「伊織の事好きじゃないとか言ったくせに、結局好きだったんじゃんねー」と嫌味を言われた。
 昔から、こんな風に人とぶつかる事はよくあった。けれど、今までは響がさりげなくフォローをしてくれていた。私は本当に響に助けられてここまでやってきたんだと、今更ながらに実感した。

 お昼休み、恵那と一緒にご飯を食べようと思ったら、小池さんの仲がいいバスケ部の子が、恵那に声をかけた。

 「恵那〜今日、一緒に学食で食べない?」

恵那はすぐに私の方を向いて、困った顔をしていた。私はすぐに恵那の側に行って声をかけた。

 「私はいいから行きな。同じ部活でしょ?」

恵那は私に気まずそうな顔をしたが、私に向かって少し頷くと、小池さん達の方へ行ってしまった。恵那は部活でも小池さん達と付き合っていかなければいけないだろうし、私みたいに反感をかってしまえば可哀想だと思った。

 私は誰か他のクラスメイトとご飯を食べようかと思ったが、私と目が合うと、他の女子達は関わりたくないのか私から目を逸らした。
 あんなに面倒だと思っていた動画撮影も、いざ誘われなければ寂しいし、皆んなが楽しそうにご飯を食べている教室で一人でご飯を食べるのも寂しい。

 あんなに苛立って、小池さんに楯突いたが結局、いつものようにあとでくよくよしている。
だったら大人しく、小池さんの言う事を聞いていればいいのにそれも出来ない。
 こんな自分が面倒で、弱くて本当に嫌いだ。

 私は教室にいるのが嫌になって、人気のいない静かな非常階段で一人でご飯を食べた。
こんな埃っぽい所で一人でご飯を食べるのは、なんだか虚しかったが、教室にいるよりは全然マシだった。

 私は一人、非常階段で大きなため息をついていた。上手くやらなきゃと思っているのに、どうして私は何一つ上手くやれないんだろうか、、、。結局、私は響きにはなれそうもなかった。