透明なトライアングル

 「なんで俺が学級委員なんてやらなきゃいけないんだよ〜バイトでクソ忙しいのに、お前のせいだからな!」

  「何言ってんの?悪いけど、私だって同じだよ?早く帰らなきゃいけないのに、伊織のせいで学級委員にさせられたんだよ?」

「はぁ?詩歌が学級委員にさせられたのは俺のせいじゃないだろうが?小池のせいだろ?」

  「だから、間接的にあんたのせいなんだって!あんたが、廊下で私に話しかけてくるから、こんな事になってんだよ!」

 私達は、自転車であぜ道を走りながら罵り合っていた。結局、私達はニ人でクラス委員になって、学年の広報係りになってしまった。
結局あのあと、委員会に参加させられて、私は須田さんに謝って、伊織はバイトに遅刻する事になった。

 「関係ないだろ、そんなの!」

「あるって!って言うか気づいてないわけ?小池さんの気持ち!どう見ても伊織の事好きじゃん!」

「そうなの?でも俺は友達以上に見た事ないから」

「なんで!いつも仲良く盛り上がってんじゃん!」

 「友達だからな?それ以上の感情はないよ」

「どうでもいいけど!私は貰い事故してんの!」

今日のあの感じだと、私は小池さんを敵にまわして、それは即ちクラスの女子を敵にまわしたようなものだった。
あそこで、わざわざ伊織をクラス委員に推薦したのは、流石にやり過ぎたと思ったけれど、頭に血が登っていた。いつもやってしまってから後悔するから、私はタチが悪い。
 まだ入学して間もないのに、私の高校生活は暗雲立ち込めていた。

 「なんで、そんなに早く家に帰りたいんだよ」

伊織が突然私に質問してきた。

 「お母さん、私の姉が死んでから精神的な病気なの。響は、私と違って優等生で何でも出来て、お母さんにとって自慢の娘だったから、ショックが大きかったみたい。だから、私は今、詩歌を捨てて、響になる努力をしてるの。
 うちも母子家庭だから、あんまりお母さんを一人にさせられないからダッシュで帰ってるってわけ」

「そうなんだ、、、」

「でも、内緒ね。皆んなに気を遣われるの嫌だから、伊織の家の話しも誰にも言わないよ」

まあ、元から誰にも言うつもりはなかったけれど、変な同情を買うのだけは嫌だった。

 「じゃあ、家が複雑な者同士、協力できる時は協力し合おうぜ」

「協力?」

「そう。同情じゃなくて協力。いいだろ?こんな、くら〜い話し誰にも出来ないし、愚痴くらい言い合うくらいのストレス解消がないと、俺らがダメになるぞ」

「まあ、確かに」

それは、悪くない案かもしれないと思った。同じような境遇の伊織なら、何でも話せそうな気がしていた。

  「呼びだせよ。何かあったら」

伊織がそう言って笑った時、私も思わず笑顔になって頷いた。強い同盟を組めたような、そんな気がしていた、、、。