透明なトライアングル

 私は、落ちていたノートを拾って末永さんに渡そうとした時、ノートの中身がちらって見えてしまった。

 「漫画、、、?」

私が末永さんに聞くと、末永さんは恥ずかしそうに顔を赤くした。

 「見えた?恥ずかしいんだけど、、、」

「ごめん。見るつもりなかったけど、チラッとみえちゃった。末永さんが書いたの?」

「、、、うん。趣味で描いてて、、、」

「凄いね!見せてよ」私は興味をひかれてそう言った。チラッと見えただけでも、素人が描いたと思えないくらいの綺麗な絵だった、、、。

 「え?でも上手くないし、恥ずかしいし、漫画描いてるとかオタクっぽくて、きもくない?」

「キモくないよ!どうして?私、自分が絵とか字とか下手だから、上手な人尊敬する。それに、漫画を読むのは大好きだよ」

 私の言葉に末永さんは、安心したのか持っていたノートを私に渡してきた。
 ノートを開くと、綺麗な絵で漫画がびっしり描かれていた。

 「凄い!本当にこれ末永さんが描いたの?めちゃくちゃ上手じゃん!」

お世辞ではなかった。本当に私は末永さんが描いた漫画に感動していた。

 「ありがとう。でも、これくらい描ける人間は世の中に沢山いるんだよ。実は何回か少年雑誌に応募してるんだけど、全然だめなんだよね。
、、、ねぇ、良かったら一城さん私の漫画を読んで感想くれる?ズバズバ正直に言ってくれる人に読んでほしいの」

 私は末永さんの意外な申し出に少し驚いたが、是非漫画を読んでみたかった。

 「いいの?私漫画の事は全然わからないけど、、、」

「いいの、だって読むのは素人なんだから、一城さんが面白いって思わなきゃ、誰も面白いって思わないでしょ?」

確かに、それは納得いった。

 「じゃあ、私が読者になるね。うわっ楽しみ!」

「ありがとう。ねぇ、詩歌って呼んでいい?アンナって呼んでよ」

「うん、いいよ。よろしくね」

 私達はその短い時間ですっかり打ち解けていた。アンナとはあまり片意地はらずに、すんなり話せているのが不思議だった。アンナには何処か信頼できるような、芯の通った強さを感じた。
 私はさっきまで感じていた、大きな不安が少し和らいでいた気がした。