お昼休みが終わる頃、いきなり小池さんに話しかけられた。この手のタイプの気が強い子と私は、そりが合わないとわかっていた。昔からよくこんな子と喧嘩をして、問題になってお母さんに心配をかけていたので、あえて関わらない様にしていた。

 「一城さん?一城さんってなんで伊織と仲いいの?」

その質問をされただけで、きっと小池さんは伊織の事が好きなんだとわかった。
小池さんはいつも伊織の側にいて話しかけていたし、同じ中学だからか、よくニ人は仲良さそうに盛り上がっていた。
 私は伊織が苦手だったし、自分からは話しかけに行ったりはしなかったが、何故かたまに伊織の方が私にちょっかいを出してきていた。
うざいと思って、全てスルーしていたがそれが気にいらなかったのかもしれない。

 「仲良くないよ、たまたま春休みに遊園地で会って話した事があっただけだよ」

私は笑顔でそう答えていた。とにかく感じ悪くならないように、満面の笑顔で返した。響がいなくなる前の私だったら考えられない。
 
 『は?仲良くないし、ってか嫌いだし』

とか太々しい感じで答えていただろう。しかし今は些細な事で人と対立して、揉めている場合ではないと思っていた。響の様に人に接したら絶対に揉め事にはならない。だから、私は響の真似をした。

 「そうなんだ。伊織が凄く気にかけてるから、何か特別な繋がりがあるのかと思ってた。SNSで繋がってるとか、、、」

「うんん。繋がってないよ。私SNSやってないし。何も関係ないよ」

「本当に?」

「うん」私がそう笑顔で答えると、小池さんはわかりやすく安心していた。

  (面倒くさい、、、)

私は心の中で冷めた思いで彼女をみていた。伊織の事が好きならさっさと告白でもして、付き合うなり、なんかしたらいいのに、、、。
関係ない私を巻き込まないで欲しい。

 「ねぇ、小池さんバスケ部でしょ?私もバスケ部に入ろうと思ってるんだけど」

恵那がそう言って小池さんに話しかけた。小池さんは中学の時、バスケ部のキャプテンだったと恵那が言っていた。

 「バスケ部入るの?今年女バス人数多いんだよ。今日帰りに新入部員で夕飯行くんだけど、一緒にいかない?」

「え?行きたい!」

「行こう!行こう!一城さんもバスケ部入るの?」

私は、話しを振られたが思わず首を振った。

 「うんん、、、私はバスケ部には入らない」

「もう!詩歌入ろうよ!人数多いなら絶対楽しいよ!強くなるし!部活入った方が青春謳歌できるよ」

恵那が半ば強引に私に言ってくるが、私の気持ちが変わる事はなかった。