あれから、十年。
わたしは今、出版社で漫画編集者として働いている。
毎日が締切と打ち合わせの連続で、走り回るように過ぎていくけれど、
ふと立ち止まったとき、心のどこかで思い出すのは――
「あの日、夢を言葉にした瞬間」だった。
夢を職業にすることはできなかったけど、
夢に触れていたいという想いは、ずっと変わらなかった。
母に小言を言われつつも、
描くことも、まだ続けている。
仕事終わりの深夜、机の前に座ると、
あのころと同じように、手が動きはじめる。
ペン先がなぞる線は、
今もわたしの『すき』を語ってくれる。
そして、アリサ。
彼女はついに、夢だった「自由な学校」の設立準備を始めた。
場所は郊外。元・洋館だった古い校舎をリノベーションして、
まるで海外の小さなキャンパスのような空間に仕立てている。
「帰っておいでって、いつでも言える場所にしたいんだ」
そう言った彼女の笑顔は、十年前と同じ、きらきらした目をしていた。
わたしたちは、別々の道を歩いている。
だけど、同じ夢を見ている。
『好き』をあきらめないこと。
あのとき、ふたりで誓った約束は、
今も心の中にある。
同じ温度で、これからもきっと、永遠に。
わたしは今、出版社で漫画編集者として働いている。
毎日が締切と打ち合わせの連続で、走り回るように過ぎていくけれど、
ふと立ち止まったとき、心のどこかで思い出すのは――
「あの日、夢を言葉にした瞬間」だった。
夢を職業にすることはできなかったけど、
夢に触れていたいという想いは、ずっと変わらなかった。
母に小言を言われつつも、
描くことも、まだ続けている。
仕事終わりの深夜、机の前に座ると、
あのころと同じように、手が動きはじめる。
ペン先がなぞる線は、
今もわたしの『すき』を語ってくれる。
そして、アリサ。
彼女はついに、夢だった「自由な学校」の設立準備を始めた。
場所は郊外。元・洋館だった古い校舎をリノベーションして、
まるで海外の小さなキャンパスのような空間に仕立てている。
「帰っておいでって、いつでも言える場所にしたいんだ」
そう言った彼女の笑顔は、十年前と同じ、きらきらした目をしていた。
わたしたちは、別々の道を歩いている。
だけど、同じ夢を見ている。
『好き』をあきらめないこと。
あのとき、ふたりで誓った約束は、
今も心の中にある。
同じ温度で、これからもきっと、永遠に。



