金鳳花女子高等学校。
日本でいちばん校則が厳しい、と噂されるその白いセーラー服を着ると、
心まで少し白くなった気がする。
髪型は、肩につかない長さか、一つ結び。
爪は短く切って、コート禁止。
携帯電話は、電源を切って学校に預けること。
登下校中も、寄り道は絶対に禁止。
スカート丈は、ひざ下五センチ。
笑うときは、静かに。
わたしは、それらすべてを守っている。
それが、わたしにできる、唯一の「優等生のふり」だから。
クラスはD組。
学校でいちばん成績が悪い生徒たちが集まる場所。
かつてずっとA組にいた母は、わたしのこのクラスのことを何も言わない。
けれど、その「何も言わない」が、いつも胸に刺さる。
わたしは、まじめでいなきゃいけない。
優しくされたいとか、褒められたいとか、
そんなことを思ってはいけない。
漫画なんて描いてる時間があるなら、英単語を覚えろって、
そんな声が、机の奥のノートを開けるたび、脳裏に響く。
だけど本当は――
ほんとうは、わたし、言いたいことがたくさんある。
黙ってきたけど、無かったことにはできない「わたし自身」が、
ずっと心の中で、ぎゅっと、小さくなっている。
だからたぶん、わたしは――
あの日、電車の中で、あの子に出会ったんだと思う。
わたしに「声をかけてきた、世界の正反対の女の子」に。
日本でいちばん校則が厳しい、と噂されるその白いセーラー服を着ると、
心まで少し白くなった気がする。
髪型は、肩につかない長さか、一つ結び。
爪は短く切って、コート禁止。
携帯電話は、電源を切って学校に預けること。
登下校中も、寄り道は絶対に禁止。
スカート丈は、ひざ下五センチ。
笑うときは、静かに。
わたしは、それらすべてを守っている。
それが、わたしにできる、唯一の「優等生のふり」だから。
クラスはD組。
学校でいちばん成績が悪い生徒たちが集まる場所。
かつてずっとA組にいた母は、わたしのこのクラスのことを何も言わない。
けれど、その「何も言わない」が、いつも胸に刺さる。
わたしは、まじめでいなきゃいけない。
優しくされたいとか、褒められたいとか、
そんなことを思ってはいけない。
漫画なんて描いてる時間があるなら、英単語を覚えろって、
そんな声が、机の奥のノートを開けるたび、脳裏に響く。
だけど本当は――
ほんとうは、わたし、言いたいことがたくさんある。
黙ってきたけど、無かったことにはできない「わたし自身」が、
ずっと心の中で、ぎゅっと、小さくなっている。
だからたぶん、わたしは――
あの日、電車の中で、あの子に出会ったんだと思う。
わたしに「声をかけてきた、世界の正反対の女の子」に。



