「っ⁉」



 目の前には顔を真っ赤にしている達樹さんがいた。

 近いっ! 近い! 達樹さんの顔が目の前に! リノに夢中になっていて達樹さんを全然見ていなかった!

 私の頬も一気に熱くなる。



「ご、ごめんなさいっ!」



 私は慌てて元の姿勢に戻す。かあっと火照る頬を隠すように手で押さえる。



「いや、こっちこそ。ごめん」



 沈黙。なんとなく恥ずかしいような、気まずいような空気が流れる。



「あ、えっと。オムライスの続き、やってくるね」

「はいっ」



 達樹さんはリノをベッドの上におろしてからキッチンに向かった。

 ドキドキした……。さっきのを思い出すだけで恥ずかしい。好きな人の顔が至近距離にあるって、こんなにドキドキするものだったっけ? 緊張して、恥ずかしくて、息をするのも忘れちゃう。

 このまま考えていたらダメだ! 達樹さんの顔を見れなくなっちゃう。

 そうだ! リノに触れてみよう! まだリノに触れてないし、ようやく布団の中から出てくれたし! 今日はそのためにここにきたんだから!

 私はベッドの上でくつろいでいるリノに手を伸ばした。