たとえば、月夜に浮かぶ星々のように。
 たとえば、水面に映る朝焼けのように。

 そこにあるものは、虚像なんかじゃない。

 たとえば、それは──私のように。

 左手首の傷跡は、もう私の存在証明じゃなくなった。
 けれど、それがあったことも決して無駄ではなかったと思う。
 
 今、私の隣には、ちゃんと私を見てくれる人がいるから。

 だから私は、胸を張って、この想いを伝えようと思う。

 
 拝啓、夜空にかかった虹をみつけてくれた「君」へ。
「私」をみつけてくれて、ありがとう────。