「まとまったかな。私はそろそろネイルの準備に取りかかるから、二人でゆっくり見てね。決まったら寺西ちゃんに言ってね」
寺西さんがひらひらと手を振る。僕たちは二人にお礼を言い、お言葉に甘えてゆっくりすることにした。
「朝川さんはネイルする?」
「うん。ジェルネイルはしたことないけど、通常のならしたことある」
ちらりと準備中の唄さんを見遣る。
まさに唄さんが手にしているのがジェルネイルだ。一度付けたら一か月程度そのままにできる。ぷっくりしたフォルムも可愛らしい。
でも、高価だし、うちの高校みたいにネイル禁止だと休日だけ付けるということができない。
「卒業したら、ジェルネイルもしてみたいね」
「そうだね」
「ネイルオイルとかケア用品なら今でも使えるから、もしネイルに興味あるならそういうのも良いかも。もちろん、他の雑貨でも。何か良さそうなのはあった?」
「う~ん、全部可愛くて迷っちゃう。じっくり選んでいい?」
「いいよ。時間はあるから」
真剣に選んでくれていて僕も嬉しい。物をあげることが迷惑だったらどうしようかと実は不安だった。
友だちへのプレゼントと軽く決めてしまったけど、異性の友だちだとあまりしないかもしれない。大事な友だちなのは変わらないのに、性別って難しい。
「アクセサリーはする?」
「するよ。可愛いものは全部好き」
「僕も」
そこへ、ネイル予約のお客さんがやってきた。朝川さんが僕に近寄って「小声で」と話す。僕は小さく頷いた。
「もうすぐ決まるから」
「大丈夫だよ」
ちらっと僕の顔を見つつ、朝川さんがキラキラしているチャームを手に取った。四角いシンプルな、でもマグネットネイルみたいに角度によって輝き方が変わる不思議なチャームだ。
「これにする。これなら、バッグに付けられるから学校でもOKだし」
「可愛いね。色は青?」
「うん」
僕が受け取り、レジに向かう。寺西さんが会計をしてくれた。
「有難う御座います」
袋に入れられ、レースのリボンが付けられた。さらに可愛さが増す。
「あ、あとこれもお願いします!」
後ろから朝川さんが色違いのチャームをレジに出した。
「あの、迷惑じゃなかったら、私がこれ買うからもらってくれる?」
「ええ!」
今度は僕が驚かされる番だった。
朝川さんはまたの機会にって言っていた。単なる社交辞令的な言い回しで、僕は特にお返しをもらうつもりもなかった。まさか僕ももらうことになるなんて。
「色、赤にしちゃったけど、他の色がいい? 頼田君が気にいる色にして」
「ありがとう。赤が嬉しい。青と対っぽいし、朝川さんが選んでくれた色だから」
「ふふ、なんか照れちゃう」
顔をくしゃっとさせて、朝川さんがお金を払った。
選んでくれた赤は、あまり主張せず、でもとても印象的な色をしていた。それが僕の手にある袋と同じものに入れられる。朝川さんが受け取ってくれたところで、まずは店の外に出ることにした。
「有難う御座いました」
お辞儀すると、寺西さんがにこやかにお辞儀を返してくれた。端に座って接客中の唄さんも控えめに手を振っている。僕は晴れやかな気持ちで店を後にした。
寺西さんがひらひらと手を振る。僕たちは二人にお礼を言い、お言葉に甘えてゆっくりすることにした。
「朝川さんはネイルする?」
「うん。ジェルネイルはしたことないけど、通常のならしたことある」
ちらりと準備中の唄さんを見遣る。
まさに唄さんが手にしているのがジェルネイルだ。一度付けたら一か月程度そのままにできる。ぷっくりしたフォルムも可愛らしい。
でも、高価だし、うちの高校みたいにネイル禁止だと休日だけ付けるということができない。
「卒業したら、ジェルネイルもしてみたいね」
「そうだね」
「ネイルオイルとかケア用品なら今でも使えるから、もしネイルに興味あるならそういうのも良いかも。もちろん、他の雑貨でも。何か良さそうなのはあった?」
「う~ん、全部可愛くて迷っちゃう。じっくり選んでいい?」
「いいよ。時間はあるから」
真剣に選んでくれていて僕も嬉しい。物をあげることが迷惑だったらどうしようかと実は不安だった。
友だちへのプレゼントと軽く決めてしまったけど、異性の友だちだとあまりしないかもしれない。大事な友だちなのは変わらないのに、性別って難しい。
「アクセサリーはする?」
「するよ。可愛いものは全部好き」
「僕も」
そこへ、ネイル予約のお客さんがやってきた。朝川さんが僕に近寄って「小声で」と話す。僕は小さく頷いた。
「もうすぐ決まるから」
「大丈夫だよ」
ちらっと僕の顔を見つつ、朝川さんがキラキラしているチャームを手に取った。四角いシンプルな、でもマグネットネイルみたいに角度によって輝き方が変わる不思議なチャームだ。
「これにする。これなら、バッグに付けられるから学校でもOKだし」
「可愛いね。色は青?」
「うん」
僕が受け取り、レジに向かう。寺西さんが会計をしてくれた。
「有難う御座います」
袋に入れられ、レースのリボンが付けられた。さらに可愛さが増す。
「あ、あとこれもお願いします!」
後ろから朝川さんが色違いのチャームをレジに出した。
「あの、迷惑じゃなかったら、私がこれ買うからもらってくれる?」
「ええ!」
今度は僕が驚かされる番だった。
朝川さんはまたの機会にって言っていた。単なる社交辞令的な言い回しで、僕は特にお返しをもらうつもりもなかった。まさか僕ももらうことになるなんて。
「色、赤にしちゃったけど、他の色がいい? 頼田君が気にいる色にして」
「ありがとう。赤が嬉しい。青と対っぽいし、朝川さんが選んでくれた色だから」
「ふふ、なんか照れちゃう」
顔をくしゃっとさせて、朝川さんがお金を払った。
選んでくれた赤は、あまり主張せず、でもとても印象的な色をしていた。それが僕の手にある袋と同じものに入れられる。朝川さんが受け取ってくれたところで、まずは店の外に出ることにした。
「有難う御座いました」
お辞儀すると、寺西さんがにこやかにお辞儀を返してくれた。端に座って接客中の唄さんも控えめに手を振っている。僕は晴れやかな気持ちで店を後にした。


