「は、はい!?」
「俺、ファラオも喜ぶと思います! そしたらファラオからのご寵愛も……!」
「いやいや! ちょっと待って! いきなりファラオ相手はハードル高くない!?」

 当然ながらティアは自分が作った料理をウナセトに食べさせるなんて事を想像した事もない。
 なぜならこれまでは家族や屋敷で働く使用人達が喜んでくれたらそれでいいと考えていたからだ。

「待って、皆の気持ちはわかるよ。でもファラオの好きな食べ物とかわからないし、いきなりはきついよ」

 料理人達は申し訳なさそうな瞳でティアをじっと見つめる。

「ティア様、いきなり段階を踏まずにファラオ相手は難しい……という事でございますよね?」

 侍女からの問いかけに、ティアは即座にうん。と答える。

「だってファラオとロクに会話した事ないし、誰かに聞いてもらうのもなんだか申し訳ないしさぁ……あと緊張がすごいよ。やっぱり」
「なるほど……ではファラオに近い神官達相手はいかがですか?」