ティアはベッドに移動し、両手両足を投げ出し、薄暗い天井に目線を移す。天井にはいつの間にか迷って入り込んでいたコウモリがバサバサと羽をばたつかせていた。
まるで、逃れられない迷宮に入ってしまったかのように。
「ティア様。文書でもお持ちしましょうか?」
「後宮の図書館にあるやつなら、ほとんど読んじゃったしなぁ……」
ティアがいる後宮には、図書館が存在する。庶民は立ち入り出来ないが、側室達や後宮で働く者達は自由に出入り可能な場所だ。
「そうでございましたか、失礼いたしました」
「う〜ん……何して暇つぶししようかなぁ」
ティアが未だにコウモリがいる天井へ向けて力なく呟いた時、侍女のお腹から音が鳴った。
「? 朝ごはん食べてないの?」
どうやら侍女は食事にありつけてなかったようだ。
「は、はい。バタバタしていたので……」
「じゃあ、今食べたら? 豆のスープとパンならあるはずだし……」
「ありがたきお気遣い感謝いたします。では、お言葉に甘えまして……」
ティアがベッドから降り、厨房へ向かおうとしていた時。彼女の頭にあるアイデアがはっきりと具現化された。
「……これだ」
両手を勢い任せに叩いたティアを、侍女は不思議そうに見つめている。
まるで、逃れられない迷宮に入ってしまったかのように。
「ティア様。文書でもお持ちしましょうか?」
「後宮の図書館にあるやつなら、ほとんど読んじゃったしなぁ……」
ティアがいる後宮には、図書館が存在する。庶民は立ち入り出来ないが、側室達や後宮で働く者達は自由に出入り可能な場所だ。
「そうでございましたか、失礼いたしました」
「う〜ん……何して暇つぶししようかなぁ」
ティアが未だにコウモリがいる天井へ向けて力なく呟いた時、侍女のお腹から音が鳴った。
「? 朝ごはん食べてないの?」
どうやら侍女は食事にありつけてなかったようだ。
「は、はい。バタバタしていたので……」
「じゃあ、今食べたら? 豆のスープとパンならあるはずだし……」
「ありがたきお気遣い感謝いたします。では、お言葉に甘えまして……」
ティアがベッドから降り、厨房へ向かおうとしていた時。彼女の頭にあるアイデアがはっきりと具現化された。
「……これだ」
両手を勢い任せに叩いたティアを、侍女は不思議そうに見つめている。



