◇ ◇ ◇
ここは王宮。ファラオ・ウナセトが鎮座する聖なる宮殿である。
石造りの宮殿には、時折砂交じりの風が入り込んでいた。そんな宮殿の王の間にて玉座にはべる色黒で鋭い茶色の瞳を持つやや華奢な青年がウナセトである。
「明日か。セネバの後宮の神官達が会議を執り行うのは」
セネバの後宮はティアが住まう後宮の事だ。
「さようでございます」
「ふむ……会議が終われば余も馳せ参じよう」
「セネバの後宮に参られるのですか?」
直接ファラオが神官団の元に参る。唐突な発言に家臣達はやや驚いている。
「たまには現地に赴き、視察しなければならんだろう。ちゃんと職務を全うしているのかを、な」
家臣達がははっ! とうやうやしく返事をする。しばらくして何かを思い出したのか、中年くらいの年季の入った家臣があの……。と口を開く。
「なんだ、申してみよ」
「セネバの後宮には……あの日陰妃がいらっしゃるようですが」
「日陰妃? 誰の事だ?」
ウナセトはティアが日陰妃と呼ばれているのを知らない。そればかりかティアの名前と顔も一致していない状態だ。
「ティア様でございます。えぇと……」
「ティア?」
ウナセトはそんな名前の妃いたのか? と頭をぐるぐると巡らせる。
ここは王宮。ファラオ・ウナセトが鎮座する聖なる宮殿である。
石造りの宮殿には、時折砂交じりの風が入り込んでいた。そんな宮殿の王の間にて玉座にはべる色黒で鋭い茶色の瞳を持つやや華奢な青年がウナセトである。
「明日か。セネバの後宮の神官達が会議を執り行うのは」
セネバの後宮はティアが住まう後宮の事だ。
「さようでございます」
「ふむ……会議が終われば余も馳せ参じよう」
「セネバの後宮に参られるのですか?」
直接ファラオが神官団の元に参る。唐突な発言に家臣達はやや驚いている。
「たまには現地に赴き、視察しなければならんだろう。ちゃんと職務を全うしているのかを、な」
家臣達がははっ! とうやうやしく返事をする。しばらくして何かを思い出したのか、中年くらいの年季の入った家臣があの……。と口を開く。
「なんだ、申してみよ」
「セネバの後宮には……あの日陰妃がいらっしゃるようですが」
「日陰妃? 誰の事だ?」
ウナセトはティアが日陰妃と呼ばれているのを知らない。そればかりかティアの名前と顔も一致していない状態だ。
「ティア様でございます。えぇと……」
「ティア?」
ウナセトはそんな名前の妃いたのか? と頭をぐるぐると巡らせる。



