ああ、イライラする。

家にいても学校にいても、どこにいても苛立ちが止まらない。

こんな日常、もううんざりだ。



「おい、綿谷。ちょっと面貸せよ」


昼のちょっとした騒ぎについて担任から軽く説教を食らってから学校を出ると、待っていたかのように校門の前で仁王立ちをしていたツンツン頭の男がぬっと前に出てきた。


「…今日は気分が悪いんだよ。またにしてくれ」


男の横を通り過ぎて去ろうとするが、がっと腕を掴まれた。


「おいおい、俺の顔忘れたのか?このまえボコボコにされた分、おまえのこともボコボコにしないと気が済まないんだよ」


そこでやっとこのまえ、俺の噂を聞きつけてやってきた隣駅の男子校のボスなことに気づく。

あの時は三人の取り巻きを連れて絡んできたが、弱すぎて一瞬で片付けた。

しかし不運なことに街中で喧嘩をしたせいで近くを見回っていた警察に見つかり逃げるのが大変だった。


「…面倒くせ。結果なんて目に見えてんだろ」

「それはどうかな?」