ダンっと怒り任せに壁を叩きつけると、今にも泣きそうな三人が怯えたように身を寄せ合っていた。


「…これ以上あいつのこと傷つけたら、ただじゃおかねぇからな」


話していても意味がないと思い、踵を返して中庭に向かう。

中庭ではどこかぼんやりとしている花楓が一人で掃除をしていた。


「なんでおまえは何も言わないんだよ」

「…え？綿谷？」


振り返った花楓が驚いたように目を見開いていた。


「これだろ。おまえが探してるもの」

「…っ！どうして、綿谷が…」

「どうしてはこっちのセリフだよ。おまえ、あの三人からいじめられてんのか？物隠されたり掃除押し付けられたり、後は何をされてるんだ？」


どうして早く気づいてやれなかったんだろう。

こんなに近くで苦しんでいた幼なじみに、俺は気づくどころか冷たく突き放していた。


「…違うの。大したことはされてないし、こんなのイジメのうちに入らないもん。ただ、三人とは少しだけ合わないだけ。女子ってみんなこんな感じだよ？気に入らないことが少しでもあると、拒まれる。仲間に入れてもらえなくなっちゃうの。だから私が我慢すればいいだけ。私が変わればいいだけなの。大事な物まで隠されたのはさすがに腹が立ったけど、そもそも三人の気に触るようなことをしちゃった私が悪いから…」