あまりにもオトの纏っている雰囲気がおっとりとしているからか、ごちゃごちゃ考えてキレているこっちが馬鹿馬鹿しく思えてくるほど。

こんな感情は初めてだった。


「少年は今いくつ?」

「…16」

「ほー。てことは高二だね?私とは十歳差かぁ。いいな、高校生」


カップに口をつけたまま思わずぎょっとしてオトを見る。

こいつ…26歳だったのか?

年上であることはまあわかってはいたけど、せめて20歳くらいとかだとそう思っていたのに、まさか俺の10個上だったとは。

童顔すぎだろ。いやでもふとした表情は大人っぽい…のか?


「あー!今、失礼なこと考えてたでしょ?」

「…別に」

「いいよ、昔から幼いねってよく言われるもの。もう慣れっこ。今更大人っぽく見られたいわけでもないし、“慣れ”って怖いよね」


“不良。どうしておまえはいつもそうなんだ。また綿谷か。”

もうそんな言葉たちにはとっくに慣れていた。

だからこそ、今更どんな人間だと思われようが俺はどうだっていいのだ。