「少年、少年うるせぇな。少年じゃねぇよ」


ダンっと感情任せに拳で机を叩くと、オトがぴたりと口を閉ざした。


「じゃあ名前、なんて言うの?」

「…は?」

「少年って言われたくないなら、名前教えてってば」


オトがずいっと身を乗り出してきて、思わずこっちが退け反る。


「おまえ…俺が怖くないのかよ?昨日の喧嘩だって見てたなら、もしかしたら俺がムカついて手出してくるとか考えないのかよ?」

「…?君はムカついたからって理由だけで、人を殴るような人じゃないでしょ?」

「…は?」

「いやわからないけど、なんとなくそう思っただけだよ。だから怖いなんて思ってないかな。…あ、その金髪ピアスで私がビビると思ってるのね?残念。私が高校生だった時に金髪ピアスの男の子なんて身近にいっーぱいいたからその外見だけじゃ私はビビりませんよー」


たしかにこの見た目から怖がられることもあるけど、俺が言いたいのはそれだけじゃなくて。

なんでこいつは出逢った時からこんなに普通なんだ?

よく知りもしない不良少年をどうしてここまで信じることができるのだ。

ただのお人好しなのか、それとも馬鹿なだけなのか…。