======== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
物部満百合(まゆり)・・・物部一朗太と栞(しおり)の娘。
久保田健太郎・・・久保田誠とあつこの息子。
大文字おさむ・・・大文字伝子と学の息子。
福本めぐみ・・・福本英二と祥子の娘。
依田悦子・・・依田俊介と慶子の娘。
服部千香乃(ちかの)・・・服部源一郎とコウの娘。
南原未玖(みく)・・・南原龍之介と文子(ふみこ)の娘。
山城みどり・・・山城順と蘭の娘。
愛宕悦司・・・愛宕寛治とみちるの息子。
南出良(みなみでりょう)・・・転校生。千香乃と同じクラス。
片山継男・・・一輪車大会で、悦子と争った。今はカレシ。悦子と婚約したばかりだが、頭が上がらない。母親が病院の事務員をしている。
物部一朗太・・・喫茶店アテロゴのマスター。満百合の父。
辰巳一郎・・・アテロゴのウェイター。
辰巳泰子・・・アテロゴのウエイトレス。
藤堂所縁・・・小学校教師。ミラクル9の顧問?
物部栞・・・満百合の母。
片山育子・・・継男の母。
==============================
==ミラクル9とは、大文字伝子達の子供達が作った、サークルのことである。==
午後5時。春田病院。
藤堂とミラクル9は、受付の、継男の母に黙礼をした。
継男が、病室を教えて貰い、皆でお見舞いに行った。
モールで引ったくりに遭い、転倒した女性がいた。実は、ミラクル9が引ったくりを捕まえ、警察を呼んだのだ。
女性が倒れたままなので、健太郎は、母親のあつこの助言で救急車を呼んだ。
その女性、天宮塔子はベッドに半身を起こしていた。
「ありがとう、皆。皆で助けてくれたのね。あ。先生は、学校の先生?」
「この子達は、『ミラクル9』っていう仲良しグループなんです。行きがかりで『顧問』やってますけど、グループは部活じゃありません。小学校の教師です。藤堂所縁と言います。」
「そうですか。とにかく、ありがとう。蛙みたいな格好で動けなくて、助かったわ。オバサン、妊娠してるの。ぱっと見分からないから、よく突き飛ばされるのよ。」
「ぱっと見で分からなくても分かっても、突き飛ばしちゃいけないよ。」と、健太郎が言った。
「優しいのね、。何て名前?」「久保田健太郎。」
「健太郎君かあ。もし男の子が生まれたら、健太郎って名前にしてもいい?『あやかり』で。私、元々丈夫じゃないから、丈夫な男の子が欲しいの。」
「うん、いいよ。僕に名前付ける権利ないけど・・・仲間だね。健太郎仲間だ。」
そこへ、医師と看護師が入って来た。
「じゃ、ミラクル9、解散!!」
「ハーイ。」
皆は、賑やかに出て行った。
午後6時半。モール。喫茶店アテロゴ。
「どうした、継男。また悦子に怒られたのか?婚約破棄!!って。」
物部が尋ねると、「いや、そうじゃないけど。」と、暫く口籠もってから継男は物部に引ったくりに遭った女性の話をした。
「オバサン、流産してたらしい。」「引ったくりに遭って?」
「いや、ずっと前。オバサン、春田病院の通院客なんだ。みんなに話していいものかどうか・・・。」
「明日、話せ。」「明日、ここに来た時、皆に話せ。継男はお母さんが働いている病院に行ってオバサンに会って、その度に思いだす。引ったくりが原因じゃないから、お前が悩む理由はない。黙っていたら、健太郎達に『後ろめたさ』を持って付き合うことになる。『健太郎仲間』が産まれなくても、健太郎は気にしない。何でも話すのが友達だ。秘密はなるべく少なくした方がいい。」
「分かった。そうするよ。悦子に婚約破棄されるの嫌だし。」
継男が帰った後、栞と満百合が顔を出した。
満百合は、目に涙を浮かべていた。
辰巳と泰子は店終いを始めた。
「満百合。お父さんとお母さんはな。健太郎の親、おさむの親、めぐみの親、悦子の親、千香乃の親、未玖の親、みどりの親、悦司の親と、ずっと友情で結ばれてきた。だから、皆の子供達がまた友情の輪を作ったこと、とても嬉しかった。鈴木校長にも聞いているかも知らないが、友情は一生物だ。だから、秘密は少ない方がいい。どんな小さなことでもだ。そりゃあ、やむを得ない場合もある。本人を傷つけたくない場合はな。今回は秘密にすることじゃない。流産した女性は可哀想だ。2回目があるかどうかは分からなくても『神様。2回目お願いします』って祈ることは出来る。流産したけど、流産自体ないことにした、その人の、これからに幸あれって祈るのもありだ。難しい話だったか?」
「ううん。明日、継男君の言うこと聞いておく。お父さん、お母さん、ありがとう。」
満百合は、泣きじゃくりながら、物部にしがみついて話した。
悦司の母みちるは、流産を経験している。悦司も聞いている。
ミラクル9にはまだ話していないかも知れない。
感情の共有、それが友情だ。
「マスター、お先です。」辰巳と泰子が挨拶した。
すると、泪を拭って、満百合は「お疲れ様でした。」と、挨拶をした。
―完―
============== 主な登場人物 ================
物部満百合(まゆり)・・・物部一朗太と栞(しおり)の娘。
久保田健太郎・・・久保田誠とあつこの息子。
大文字おさむ・・・大文字伝子と学の息子。
福本めぐみ・・・福本英二と祥子の娘。
依田悦子・・・依田俊介と慶子の娘。
服部千香乃(ちかの)・・・服部源一郎とコウの娘。
南原未玖(みく)・・・南原龍之介と文子(ふみこ)の娘。
山城みどり・・・山城順と蘭の娘。
愛宕悦司・・・愛宕寛治とみちるの息子。
南出良(みなみでりょう)・・・転校生。千香乃と同じクラス。
片山継男・・・一輪車大会で、悦子と争った。今はカレシ。悦子と婚約したばかりだが、頭が上がらない。母親が病院の事務員をしている。
物部一朗太・・・喫茶店アテロゴのマスター。満百合の父。
辰巳一郎・・・アテロゴのウェイター。
辰巳泰子・・・アテロゴのウエイトレス。
藤堂所縁・・・小学校教師。ミラクル9の顧問?
物部栞・・・満百合の母。
片山育子・・・継男の母。
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==ミラクル9とは、大文字伝子達の子供達が作った、サークルのことである。==
午後5時。春田病院。
藤堂とミラクル9は、受付の、継男の母に黙礼をした。
継男が、病室を教えて貰い、皆でお見舞いに行った。
モールで引ったくりに遭い、転倒した女性がいた。実は、ミラクル9が引ったくりを捕まえ、警察を呼んだのだ。
女性が倒れたままなので、健太郎は、母親のあつこの助言で救急車を呼んだ。
その女性、天宮塔子はベッドに半身を起こしていた。
「ありがとう、皆。皆で助けてくれたのね。あ。先生は、学校の先生?」
「この子達は、『ミラクル9』っていう仲良しグループなんです。行きがかりで『顧問』やってますけど、グループは部活じゃありません。小学校の教師です。藤堂所縁と言います。」
「そうですか。とにかく、ありがとう。蛙みたいな格好で動けなくて、助かったわ。オバサン、妊娠してるの。ぱっと見分からないから、よく突き飛ばされるのよ。」
「ぱっと見で分からなくても分かっても、突き飛ばしちゃいけないよ。」と、健太郎が言った。
「優しいのね、。何て名前?」「久保田健太郎。」
「健太郎君かあ。もし男の子が生まれたら、健太郎って名前にしてもいい?『あやかり』で。私、元々丈夫じゃないから、丈夫な男の子が欲しいの。」
「うん、いいよ。僕に名前付ける権利ないけど・・・仲間だね。健太郎仲間だ。」
そこへ、医師と看護師が入って来た。
「じゃ、ミラクル9、解散!!」
「ハーイ。」
皆は、賑やかに出て行った。
午後6時半。モール。喫茶店アテロゴ。
「どうした、継男。また悦子に怒られたのか?婚約破棄!!って。」
物部が尋ねると、「いや、そうじゃないけど。」と、暫く口籠もってから継男は物部に引ったくりに遭った女性の話をした。
「オバサン、流産してたらしい。」「引ったくりに遭って?」
「いや、ずっと前。オバサン、春田病院の通院客なんだ。みんなに話していいものかどうか・・・。」
「明日、話せ。」「明日、ここに来た時、皆に話せ。継男はお母さんが働いている病院に行ってオバサンに会って、その度に思いだす。引ったくりが原因じゃないから、お前が悩む理由はない。黙っていたら、健太郎達に『後ろめたさ』を持って付き合うことになる。『健太郎仲間』が産まれなくても、健太郎は気にしない。何でも話すのが友達だ。秘密はなるべく少なくした方がいい。」
「分かった。そうするよ。悦子に婚約破棄されるの嫌だし。」
継男が帰った後、栞と満百合が顔を出した。
満百合は、目に涙を浮かべていた。
辰巳と泰子は店終いを始めた。
「満百合。お父さんとお母さんはな。健太郎の親、おさむの親、めぐみの親、悦子の親、千香乃の親、未玖の親、みどりの親、悦司の親と、ずっと友情で結ばれてきた。だから、皆の子供達がまた友情の輪を作ったこと、とても嬉しかった。鈴木校長にも聞いているかも知らないが、友情は一生物だ。だから、秘密は少ない方がいい。どんな小さなことでもだ。そりゃあ、やむを得ない場合もある。本人を傷つけたくない場合はな。今回は秘密にすることじゃない。流産した女性は可哀想だ。2回目があるかどうかは分からなくても『神様。2回目お願いします』って祈ることは出来る。流産したけど、流産自体ないことにした、その人の、これからに幸あれって祈るのもありだ。難しい話だったか?」
「ううん。明日、継男君の言うこと聞いておく。お父さん、お母さん、ありがとう。」
満百合は、泣きじゃくりながら、物部にしがみついて話した。
悦司の母みちるは、流産を経験している。悦司も聞いている。
ミラクル9にはまだ話していないかも知れない。
感情の共有、それが友情だ。
「マスター、お先です。」辰巳と泰子が挨拶した。
すると、泪を拭って、満百合は「お疲れ様でした。」と、挨拶をした。
―完―


