======== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
物部満百合(まゆり)・・・物部一朗太と栞(しおり)の娘。
久保田健太郎・・・久保田誠とあつこの息子。
大文字おさむ・・・大文字伝子と学の息子。
福本めぐみ・・・福本英二と祥子の娘。
依田悦子・・・依田俊介と慶子の娘。
服部千香乃(ちかの)・・・服部源一郎とコウの娘。
南原未玖(みく)・・・南原龍之介と文子(ふみこ)の娘。
山城みどり・・・山城順と蘭の娘。
愛宕悦司・・・愛宕寛治とみちるの息子。
南出良(みなみでりょう)・・・転校生。千香乃と同じクラス。
片山継男・・・一輪車大会で、悦子と争った。今はカレシ。
鈴木栄太・・・小学校校長。
藤堂所縁・・・小学校教師。ミラクル9顧問。
物部一朗太・・・喫茶店アテロゴのマスター。満百合の父。
辰巳一郎・・・喫茶店アテロゴのウェイター。
==============================
==ミラクル9とは、大文字伝子達の子供達が作った、サークルのことである。==
午前8時半。小学校校庭。朝礼。
「という訳で、もう1年、この学校の校長を任された、鈴木です。もう1年、このハゲで我慢してくださいね。」生徒は、皆、笑った。
午後4時。喫茶店アテロゴ。
にわか雨が降ってきて、健太郎達と鈴木校長、藤堂は避難してきた。
「校長先生。今朝の、お話ですけど。」と、おさむが改まって校長に言った。
「ん?1年延期の話かな?」「いえ。お友達と喧嘩した時の、お話です。」
「ああ。」「本当に許せなかったんですか?」「うん。若かったからね。仲直りするタイミングを逃したんだ。もう1人、そこにいれば何とかなったかも知れないけれどね。」
「『時の氏神』ですか、校長先生。はい、ほうじ茶。」と、物部は、ほうじ茶を校長に出しながら話に割り込んだ。
「いい言葉を知ってますね、マスター。流石だ。」と、言いながら、校長は、ほうじ茶を啜った。
「『悪気は無かったんだ』。私は、最低の言い訳だと思った。今は、政治家なんかがよく使うけどね。順番が違う、とも思った。」
「順番?」と、言って健太郎は首を捻った。
「1番が『ごめんなさい』、2番が『〇〇だと思った』とか、『つい〇〇してしまった』という説明、3番が『悪気は無かった』、ですよね、校長先生。」
校長は苦笑しながら、「まあ、そんな所かな。仲直りする積もりがあるなら、謝罪を1番先に持って来ない、と、後の文章は、耳に入ってこないんだ。そういうものなんだ。」と皆を見ながら言った。
「耳にもやがかかるって言うか、あ、そうだ。皆、プールで中耳炎になったことない?中耳炎になると、よく聞こえないよね。フィルターかかったみたいで。」と、おさむが言った。
「そうだね。カッとなった感情を抑えきれなくなってしまう。本人は謝罪する気はあっても、謝罪する気が無いと思われてしまう。損をする言い訳だ。『悪気は無かった』かどうかなんて関係ないんだ。だから、友達を大切にしよう、出来れば」複数の友達と遊ぼうって言ったんだ。今は、部活が垂れてしまった。何故、偏差値に結びつかない部活を勧めるんですか?ってPTAが言い出してから、おかしくなってしまった。」
「俺も、絶交してしまって後悔したことがありますよ。大学の部活で大文字や栞達と出逢って、変わりましたね。どこかでブレーキ踏む人間がいると、暴走しない。」
物部の言葉に、「そう、正にミラクル9は、どこかで誰かがブレーキを踏む。あの偽オーナーもチームワークがいい、と言っていた。」と校長は言った。
「そうだな。『心のネットワーク』が出来ているんだ、君たちは。」
藤堂は、校長に深く同意した。
物部は、メニュー入れからメニューの紙を取りだし、何やら書いてからカウンターに戻った。
メニューには、こう書き加えられていた。
『心のネットワーク 0円』
―完―
============== 主な登場人物 ================
物部満百合(まゆり)・・・物部一朗太と栞(しおり)の娘。
久保田健太郎・・・久保田誠とあつこの息子。
大文字おさむ・・・大文字伝子と学の息子。
福本めぐみ・・・福本英二と祥子の娘。
依田悦子・・・依田俊介と慶子の娘。
服部千香乃(ちかの)・・・服部源一郎とコウの娘。
南原未玖(みく)・・・南原龍之介と文子(ふみこ)の娘。
山城みどり・・・山城順と蘭の娘。
愛宕悦司・・・愛宕寛治とみちるの息子。
南出良(みなみでりょう)・・・転校生。千香乃と同じクラス。
片山継男・・・一輪車大会で、悦子と争った。今はカレシ。
鈴木栄太・・・小学校校長。
藤堂所縁・・・小学校教師。ミラクル9顧問。
物部一朗太・・・喫茶店アテロゴのマスター。満百合の父。
辰巳一郎・・・喫茶店アテロゴのウェイター。
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==ミラクル9とは、大文字伝子達の子供達が作った、サークルのことである。==
午前8時半。小学校校庭。朝礼。
「という訳で、もう1年、この学校の校長を任された、鈴木です。もう1年、このハゲで我慢してくださいね。」生徒は、皆、笑った。
午後4時。喫茶店アテロゴ。
にわか雨が降ってきて、健太郎達と鈴木校長、藤堂は避難してきた。
「校長先生。今朝の、お話ですけど。」と、おさむが改まって校長に言った。
「ん?1年延期の話かな?」「いえ。お友達と喧嘩した時の、お話です。」
「ああ。」「本当に許せなかったんですか?」「うん。若かったからね。仲直りするタイミングを逃したんだ。もう1人、そこにいれば何とかなったかも知れないけれどね。」
「『時の氏神』ですか、校長先生。はい、ほうじ茶。」と、物部は、ほうじ茶を校長に出しながら話に割り込んだ。
「いい言葉を知ってますね、マスター。流石だ。」と、言いながら、校長は、ほうじ茶を啜った。
「『悪気は無かったんだ』。私は、最低の言い訳だと思った。今は、政治家なんかがよく使うけどね。順番が違う、とも思った。」
「順番?」と、言って健太郎は首を捻った。
「1番が『ごめんなさい』、2番が『〇〇だと思った』とか、『つい〇〇してしまった』という説明、3番が『悪気は無かった』、ですよね、校長先生。」
校長は苦笑しながら、「まあ、そんな所かな。仲直りする積もりがあるなら、謝罪を1番先に持って来ない、と、後の文章は、耳に入ってこないんだ。そういうものなんだ。」と皆を見ながら言った。
「耳にもやがかかるって言うか、あ、そうだ。皆、プールで中耳炎になったことない?中耳炎になると、よく聞こえないよね。フィルターかかったみたいで。」と、おさむが言った。
「そうだね。カッとなった感情を抑えきれなくなってしまう。本人は謝罪する気はあっても、謝罪する気が無いと思われてしまう。損をする言い訳だ。『悪気は無かった』かどうかなんて関係ないんだ。だから、友達を大切にしよう、出来れば」複数の友達と遊ぼうって言ったんだ。今は、部活が垂れてしまった。何故、偏差値に結びつかない部活を勧めるんですか?ってPTAが言い出してから、おかしくなってしまった。」
「俺も、絶交してしまって後悔したことがありますよ。大学の部活で大文字や栞達と出逢って、変わりましたね。どこかでブレーキ踏む人間がいると、暴走しない。」
物部の言葉に、「そう、正にミラクル9は、どこかで誰かがブレーキを踏む。あの偽オーナーもチームワークがいい、と言っていた。」と校長は言った。
「そうだな。『心のネットワーク』が出来ているんだ、君たちは。」
藤堂は、校長に深く同意した。
物部は、メニュー入れからメニューの紙を取りだし、何やら書いてからカウンターに戻った。
メニューには、こう書き加えられていた。
『心のネットワーク 0円』
―完―


