＝＝＝＝＝＝＝＝ この物語はあくまでもフィクションです ＝＝＝＝＝＝＝＝＝
============== 主な登場人物 ================
物部満百合（まゆり）・・・物部一朗太と栞（しおり）の娘。
久保田健太郎・・・久保田誠とあつこの息子。
大文字おさむ・・・大文字伝子と学の息子。
福本めぐみ・・・福本英二と祥子の娘。
依田悦子・・・依田俊介と慶子の娘。
服部千香乃（ちかの）・・・服部源一郎とコウの娘。
南原未玖（みく）・・・南原龍之介と文子（ふみこ）の娘。
山城みどり・・・山城順と蘭の娘。
愛宕悦司・・・愛宕寛治とみちるの息子。
南出良（みなみでりょう）・・・転校生。千香乃と同じクラス。
片山継男・・・一輪車大会で、悦子と争った。今はカレシ。
物部一朗太・・・喫茶店アテロゴのマスター。満百合の父。
藤堂所縁・・・健太郎達の小学校教師。部活ではないが、ミラクル9の顧問を名乗っている。
原田美和子・・・原田正三と伊登子の娘。
==============================
==ミラクル9とは、大文字伝子達の子供達が作った、サークルのことである。==
３月２０日。春分の日。午後１時。喫茶店アテロゴ。
「マスター。見て見て。」ミラクル９、藤堂と共に入って来た健太郎が言った。
真新しいグローブにサインらしきものが入っている。
「お？大リーガーの大牧選手のグローブかあ。全国の小学校に配布するって言ってたなあ。それ、順番に使うのか？」
「そんな勿体ないことはしないよ。手を消毒して乾かしてから触るだけ。学校に厳重保管！！」
「成程な。大変だなあ、管理。でも、大牧選手の『指紋』が付いてるなら値打ちモンだな。」
「指紋は着いてないですよね、先生。」と、隣から栞が言った。
「ええ。多分手袋してからサインしたんじゃないかな？想像だけど。でも、手に持ったと思うと感激ですよね。」
「手に持ったかどうか、証拠はないわ。」と、入って来た女の子が言った。
ミラクル9は全員揃って、クビを捻った。「誰？」
「隣町の原田美和子。原田正三の娘。健太郎君には会ったことあるわよね。」
「いつ？」「新生児室。」
「それって、ギャグ？」「うん。みんな、今の笑うとこよ。」
皆、ぎこちなく笑った。
「あ。かあちゃんの部下の1人か。ウチに写真あるよ。3つ位の時、僕と女の子が並んでいて、誰って聞いたことがある。かあちゃんが現役の時、EITOで働いていたんだよね。」
「あああ。そうか。原田警部か。筒井の後輩で、新宿署勤務の警察官でEITOに引き抜いたって話だった。筒井の紹介だから、大文字は期待していたが・・・あ、お前らと同じで大文字伝子が名付け親だ。」
マスターこと物部が言葉を濁したのは、闘いの最中負傷し、長期入院してから今は本部詰めという経緯があるからだ。
「で。ミラクル9は少年探偵団なんでしょ。事件、解決してよ。」
皆、黙っていると、「依頼内容を先ず聞かなくちゃね。それと、僕らは素人だから、解決出来るとは限らないよ。」と、おさむは言ってのけた。
母親の伝子が名付け親なら、まんざら縁がないとも言えない。
初見だが、彼女なりに真剣なのだろう。
「そのグローブの盗難事件。まだ世間には知られていないわ。『小牧選手グローブ盗難事件』。噂が先走りして、どこの小学校が盗難届出したかも分からない。隠している可能性もある。大人の力も借りられる？」
「分かった。やろう、健太郎。悦司、愛宕警部に事情を話して盗難届のデータを集めてくれ。女子は、そういう噂が拾えそうな店に行ってみて。」
「さすが、遺伝子ね。リーダーシップがあるわ。許嫁になってあげても良いわ。」
横柄な態度の美和子に、全員が「それは無理！！」と言った。
午後4時。アテロゴ。
混んでいたが、おさむは、物部を呼び出し、進捗状況を話した。
「よくやった。果報は寝て待て、だな。結果分かったら、メールくれ。」と物部は言って、店の中に消えた。
今日は祝日。なかなか忙しい。特に、近くのシネコンは、春休み映画が真っ最中だ。
みどり、未玖、めぐみがシネコンで得た情報と、千香乃、満百合、悦子がデパートで得た情報で、まだ『盗難にあっていない小学校』を割り出し、鈴木校長と藤堂が『囮依頼』をし、EITOの『DDバッジ』がグローブの保管場所近くに設置された。
『DDバッジ』は、本来『誘拐防止』にミラクル9や親達が身に着けているのだが、今回は『移動』を誘拐に見立てた。
そして、『移動』がEITOで確認されると、警察に通報、最寄りの警察署から警察官が向かうことになったのだ。
『ねずみ取り』作戦だ。
午前2時。
ネズミは、『ねずみ取り』に引っかかり、職務質問をした警察官が逮捕連行された。
被疑者は、他県の教育委員会の委員だった。
動機は転売目的だったし、テンバイヤ-も捕まった。
父親の、愛宕寛治警部から聞いた悦司は、夜中だったが、仲間にLinenで報せた。
無論、物部にも。
翌日は土曜日で、登校日では無かった。あくびを噛み殺しながら当校する必要はない。
今年は火曜日が終業式。春休みが済むと、揃って小学6年生だ。鈴木校長は、藤堂達の懇願もあって、任期を1年延ばした。
ミラクル9と一緒に「卒業」するのだ。
こうして、美和子の登場で、新メンバー加入の可能性が広まった。
―完―
============== 主な登場人物 ================
物部満百合（まゆり）・・・物部一朗太と栞（しおり）の娘。
久保田健太郎・・・久保田誠とあつこの息子。
大文字おさむ・・・大文字伝子と学の息子。
福本めぐみ・・・福本英二と祥子の娘。
依田悦子・・・依田俊介と慶子の娘。
服部千香乃（ちかの）・・・服部源一郎とコウの娘。
南原未玖（みく）・・・南原龍之介と文子（ふみこ）の娘。
山城みどり・・・山城順と蘭の娘。
愛宕悦司・・・愛宕寛治とみちるの息子。
南出良（みなみでりょう）・・・転校生。千香乃と同じクラス。
片山継男・・・一輪車大会で、悦子と争った。今はカレシ。
物部一朗太・・・喫茶店アテロゴのマスター。満百合の父。
藤堂所縁・・・健太郎達の小学校教師。部活ではないが、ミラクル9の顧問を名乗っている。
原田美和子・・・原田正三と伊登子の娘。
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==ミラクル9とは、大文字伝子達の子供達が作った、サークルのことである。==
３月２０日。春分の日。午後１時。喫茶店アテロゴ。
「マスター。見て見て。」ミラクル９、藤堂と共に入って来た健太郎が言った。
真新しいグローブにサインらしきものが入っている。
「お？大リーガーの大牧選手のグローブかあ。全国の小学校に配布するって言ってたなあ。それ、順番に使うのか？」
「そんな勿体ないことはしないよ。手を消毒して乾かしてから触るだけ。学校に厳重保管！！」
「成程な。大変だなあ、管理。でも、大牧選手の『指紋』が付いてるなら値打ちモンだな。」
「指紋は着いてないですよね、先生。」と、隣から栞が言った。
「ええ。多分手袋してからサインしたんじゃないかな？想像だけど。でも、手に持ったと思うと感激ですよね。」
「手に持ったかどうか、証拠はないわ。」と、入って来た女の子が言った。
ミラクル9は全員揃って、クビを捻った。「誰？」
「隣町の原田美和子。原田正三の娘。健太郎君には会ったことあるわよね。」
「いつ？」「新生児室。」
「それって、ギャグ？」「うん。みんな、今の笑うとこよ。」
皆、ぎこちなく笑った。
「あ。かあちゃんの部下の1人か。ウチに写真あるよ。3つ位の時、僕と女の子が並んでいて、誰って聞いたことがある。かあちゃんが現役の時、EITOで働いていたんだよね。」
「あああ。そうか。原田警部か。筒井の後輩で、新宿署勤務の警察官でEITOに引き抜いたって話だった。筒井の紹介だから、大文字は期待していたが・・・あ、お前らと同じで大文字伝子が名付け親だ。」
マスターこと物部が言葉を濁したのは、闘いの最中負傷し、長期入院してから今は本部詰めという経緯があるからだ。
「で。ミラクル9は少年探偵団なんでしょ。事件、解決してよ。」
皆、黙っていると、「依頼内容を先ず聞かなくちゃね。それと、僕らは素人だから、解決出来るとは限らないよ。」と、おさむは言ってのけた。
母親の伝子が名付け親なら、まんざら縁がないとも言えない。
初見だが、彼女なりに真剣なのだろう。
「そのグローブの盗難事件。まだ世間には知られていないわ。『小牧選手グローブ盗難事件』。噂が先走りして、どこの小学校が盗難届出したかも分からない。隠している可能性もある。大人の力も借りられる？」
「分かった。やろう、健太郎。悦司、愛宕警部に事情を話して盗難届のデータを集めてくれ。女子は、そういう噂が拾えそうな店に行ってみて。」
「さすが、遺伝子ね。リーダーシップがあるわ。許嫁になってあげても良いわ。」
横柄な態度の美和子に、全員が「それは無理！！」と言った。
午後4時。アテロゴ。
混んでいたが、おさむは、物部を呼び出し、進捗状況を話した。
「よくやった。果報は寝て待て、だな。結果分かったら、メールくれ。」と物部は言って、店の中に消えた。
今日は祝日。なかなか忙しい。特に、近くのシネコンは、春休み映画が真っ最中だ。
みどり、未玖、めぐみがシネコンで得た情報と、千香乃、満百合、悦子がデパートで得た情報で、まだ『盗難にあっていない小学校』を割り出し、鈴木校長と藤堂が『囮依頼』をし、EITOの『DDバッジ』がグローブの保管場所近くに設置された。
『DDバッジ』は、本来『誘拐防止』にミラクル9や親達が身に着けているのだが、今回は『移動』を誘拐に見立てた。
そして、『移動』がEITOで確認されると、警察に通報、最寄りの警察署から警察官が向かうことになったのだ。
『ねずみ取り』作戦だ。
午前2時。
ネズミは、『ねずみ取り』に引っかかり、職務質問をした警察官が逮捕連行された。
被疑者は、他県の教育委員会の委員だった。
動機は転売目的だったし、テンバイヤ-も捕まった。
父親の、愛宕寛治警部から聞いた悦司は、夜中だったが、仲間にLinenで報せた。
無論、物部にも。
翌日は土曜日で、登校日では無かった。あくびを噛み殺しながら当校する必要はない。
今年は火曜日が終業式。春休みが済むと、揃って小学6年生だ。鈴木校長は、藤堂達の懇願もあって、任期を1年延ばした。
ミラクル9と一緒に「卒業」するのだ。
こうして、美和子の登場で、新メンバー加入の可能性が広まった。
―完―
