======== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ============== 主な登場人物 ================
 物部満百合(まゆり)・・・物部一朗太と栞(しおり)の娘。
 久保田健太郎・・・久保田誠とあつこの息子。
 大文字おさむ・・・大文字伝子と学の息子。
 福本めぐみ・・・福本英二と祥子の娘。
 依田悦子・・・依田俊介と慶子の娘。
 服部千香乃(ちかの)・・・服部源一郎とコウの娘。
 南原未玖(みく)・・・南原龍之介と文子(ふみこ)の娘。
 山城みどり・・・山城順と蘭の娘。
 愛宕悦司・・・愛宕寛治とみちるの息子。
 愛宕寛治・・・悦司の父。丸髷署刑事。
 南出良(みなみでりょう)・・・転校生。千香乃と同じクラス。
 片山継男・・・一輪車大会で、悦子と争った。今はカレシ。

 鈴木栄太・・・小学校校長。
 藤堂所縁・・・小学校教師。自称ミラクル9の顧問。
 仲井閒あさひ・・・元アイドル。
 大島一平・・・週刊誌記者。

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 ==ミラクル9とは、大文字伝子達の子供達が作った、サークルのことである。==

 ※哀憫(あいびん)とは、悲しみ哀れむこと。

 午後3時半。モール外の公園。
 ベンチで藤堂とミラクル9が野球を楽しんでいるのを観ている鈴木校長。
 鈴木の横に腰掛ける、50代の男。高齢者と思えるような印象だ。
 「いつも、野球、観ているんですか?」と、その男が声を掛けてきた。
 「いつも、では無いんですけどね。あの子達は、私の学校の生徒で、あの大人の女性は私の学校の教師です。部活では無く、『仲良しグループ』なんです。天気のいい日は、ああして野球やサッカーをしています。あの子達の親と縁があってね・・。」
 「え?私の、って、校長先生ですか。」
 「ええ。」そう言って、鈴木は名刺を彼に渡した。
 男は、懐から名詞を出そうとしたが・・・「あ、いけない。切らしちゃった。」と、言い訳した。
 「あなたも野球好きなんですね。」「ええ。部活はやってませんでしたが、所謂『草野球』なら少し。」
 「ほう。ポジションは?」「ピッチャー・・・だったけど、肩壊しちゃって。」
 「よくある話ですな。それで、芸能界に?」
 発言したのは、鈴木では無かった。
 いつの間にか、1人の男が立っていた。サラリーマン風とは言えない格好だ。
 「あ。失礼。こういう者です。」と、その男は、50代男と鈴木に名刺を渡した。
 50代男は、顔色を変えた。
 黙って、その場を去ろうとした時、鈴木はホイッスルを吹いた。
 『普通の』ホイッスルだ。
 すぐに、ミラクル9と藤堂がやって来た。
 「みんなに聞きます。『イジメは良く無い』って思う人は手を挙げて。」
 皆は一瞬顔を見合わせて、手を挙げた。「はーい。」
 藤堂も釣られて手を挙げた。「はーい。」
 鈴木も手を挙げて、声に出して言った。「はーい。」
 すると、どこからか、愛宕警部と交番の警察官が現れて、手を挙げて言った。
 「はーい。」
 「週間踏み春の大島さんですね。ストーカー行為をしましたね。この、仲井閒さんから被害届が出ていて、『待っていた』んですよ。署までご同行願いましょうか。」
 愛宕警部は、手錠は掛けなかったが、有無を言わせず連行した。
 3人が去った後、鈴木は仲井閒に言った。
 「元アイドル、スタップの仲井閒さんですね。引退しても、12年も追い掛けるなんて、粘着心ですかね。私はファンでしたよ。当時は『疑惑』だけで追い込まれる有名人が多かった。現状は、敢えて聞きません。ミラクル9の野球で、少しは気が休まりましたか?」
 「ミラクル9?いい名前だ。あれ?9人じゃない。」と仲井閒が言うので、おさむが代表して解説した。
 「最初に集まった9人が全員、親が『友達』だったんです。それで、ミラクル9。人数増えても減っても、名前は変えないんです。だって、『奇跡』は一回だから。野球は九回だけど。」
 「おさむ。野球は、は余計だよ。今の台詞はカットだよね、仲井閒さん。」
 健太郎の言葉に、仲井閒は笑い出した。
 皆、釣られて笑い出した。
 おさむと健太郎は、しきりに照れていた。
 ―完