======== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ============== 主な登場人物 ================
 物部満百合(まゆり)・・・物部一朗太と栞(しおり)の娘。
 久保田健太郎・・・久保田誠とあつこの息子。
 大文字おさむ・・・大文字伝子と学の息子。
 福本めぐみ・・・福本英二と祥子の娘。
 依田悦子・・・依田俊介と慶子の娘。
 服部千香乃(ちかの)・・・服部源一郎とコウの娘。
 南原未玖(みく)・・・南原龍之介と文子(ふみこ)の娘。
 山城みどり・・・山城順と蘭の娘。
 愛宕悦司・・・愛宕寛治とみちるの息子。

 南出良(みなみでりょう)・・・転校生。千香乃と同じクラス。
 片山継男・・・一輪車大会で、悦子と争った。今はカレシ。
 鈴木栄太・・・小学校校長。
 藤堂所縁・・・小学校教師。自称ミラクル9の顧問。

 ロバート・ギルバート・・・EITOの元オスプレイ・パイロット。米陸軍大佐。
 なぎさ・ギルバート・・・EITOの元エマージェンシーガールズ副隊長。米海軍中佐。
 ケイトリン・ギルバート・・・ロバートとなぎさの娘。8歳。

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 ==ミラクル9とは、大文字伝子達の子供達が作った、サークルのことである。==
 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==

 1月14日。午後3時。モール外の公園。
 「あれれ?どこかで見たな。」野球を始めようとした、ミラクル9。
 最初に見付けたのは、おさむだった。
 「どこかで見たな?失礼ね、未来の『ワイフ』に向かって。」と、ケイトリンは腕を組んで言った。
 「ワイフ?おさむ、いつ婚約したの?」健太郎が、おさむを覗き込んだ。
 おさむは、ぶるぶると頭を横に振った。
 「アメリカンジョークよ、気にしないで。久しぶりね、みんな。ミラクル9。」
 「外人?あ、ハーフ?」良が、おっかなびっくりで言った。
 「ああ、紹介するよ。ケイティ、新しいメンバーの継男と良だ。ケイティは、継男、良。俺達の親達と一緒に『悪』と闘っていた人の娘だ。で、後ろに来られたのが、その人。」
 「その人でーす。なぎさ・ギルバートよ。」
 「なぎさおばさん、今頃旅行ですか?」
 「ご挨拶ね、悦司くん。ケイトリンが急に思い出して日本に行きたいって言うから。どの道、あまり授業やってない時期だったし、シカゴは。」
 「ああ、雪ですか。でも、よく来られましたね、雪なのに。ああ、軍用機か。」
 「そう。ダーリンは軍人だからね。今日は、主人の仕事関係で。丁度良かった。野球、見学していい?」
 「許可します。」と、言いながら藤堂が来た。「悦司くん。ケイトリンも入れてあげて。」と言い、藤堂は自分のグローブをケイトリンに渡した。
 「はい。行こう。
 「あなたは、確か・・・。」「ええ。早乙女の娘です。今、この子達の学校で教師やってます。ミラクル9の顧問です。」
 「お久しぶりですな。」と、鈴木校長が顔を出した。
 「この子達の活動は、学校の部活じゃないし、私は、後任が決まれば退職するけど、この子達が中学に上がっても付き合う積もりです。」
 鈴木校長に次いで、藤堂も「学校の部活じゃないから、顧問は辞めません。」と言い、舌を出した。
 「そう言えば、私が赴任した直後に『ミニ運動会』事件がありましたね。まだEITOは結成されていなかった。あの時以来、大文字さんやあなたがたとのお付き合いが続いていた。」
 「お辞めになった後、どうするんですか、先生。」
 なぎさの問いに、「Web小説というのをやってみようか、と思っているんです。結構、高齢者で参加している人がいるようですよ。作家なんて大仰なものでなくとも、読書する習慣は、認知症予防にもなるし。」と、校長は言った。
 子供達の草野球を漫然と見ながら、鈴木校長と藤堂は、過去を振り返り、夢想していた。
 1時間もすると、ロバートがやって来た。
 「やっぱりここ、でしたか。」と、ロバートは校長と藤堂に挨拶をした。
 座るベンチが狭くなったので、藤堂はミラクル9の元に走った。
 「みんな、どんな大人になるのかなあ。ケイティは、シニアハイスクールを卒業したら、ママが生まれた日本で就職したい、って言っています。」と、ロバートは校長に言った。
 「将来設計、バッチリ、ですな。あ、お迎えに来たのでは?」と、校長は感心した。
 「まだ、時間はあります。隊長達にも挨拶したいけど、まだ那珂国マフイアと闘っているんですね。」
 「今は、みちるが副隊長で仕切ってるわ。1番変わったのは、あの子かも。」と、隣の夫に言った。
 1時間後。なぎさが合図して、ケイトリンは呼び戻された。
 「いつでも、遊びにおいでよ。」と、健太郎が言うと、「そうするわ。未来のハズに会いに来たいし。」そう言って、ケイトリンはおさむの頬にチューをした。
 「浮気しちゃダメよ、おさむ。『売約済み』なんだから。」
 「これが目的だったのか。パパは『ダシ』にされたのか?いい『ダシ』取れたかな?」
 ロバートのジョークに皆、大笑いした。
 ―完―