======== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ============== 主な登場人物 ================
 物部満百合(まゆり)・・・物部一朗太と栞(しおり)の娘。
 久保田健太郎・・・久保田誠とあつこの息子。
 大文字おさむ・・・大文字伝子と学の息子。
 福本めぐみ・・・福本英二と祥子の娘。
 依田悦子・・・依田俊介と慶子の娘。
 服部千香乃(ちかの)・・・服部源一郎とコウの娘。
 南原未玖(みく)・・・南原龍之介と文子(ふみこ)の娘。
 山城みどり・・・山城順と蘭の娘。
 愛宕悦司・・・愛宕寛治とみちるの息子。

 南出良(みなみでりょう)・・・転校生。千香乃と同じクラス。
 片山継男・・・一輪車大会で、悦子と争った。今はカレシ。

 久保田あつこ・・・健太郎の母。
 久保田誠・・・健太郎の父。


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 ==ミラクル9とは、大文字伝子達の子供達が作った、サークルのことである。==
 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
 ==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==

 ※御用納めとは「各官公庁で、その年の執務を終わりにすること。 また、その日。 ふつうは12月28日」のことです。 年内の仕事の最終日のことを企業では仕事納めといい、官公庁では御用納めというのです。

 12月29日。午後1時。久保田家。
 ミラクル9は、久保田健太郎の母、あつこの招きで、地下のトレーニング場で、ブーメランの練習を始めた。
 あつこは、かつては、おさむの母伝子の所属するEITOでエマージェンシーガールズ副隊長の1人を勤めていたが、今は悦司の母みちるに副隊長を任せ、警視庁に戻って、『警視正』の1人として、重責を担っている。
 昨日は、所謂『御用納め』だった為、のんびり出来る。
 そこで、健太郎のチーム、ミラクル9を招待したのだ。
 ミラクル9という名前は、最初に9人が集まったからついた「あだ名」だったが、エマージェンシーガールズに参加していた早乙女藍(当時)の娘である藤堂所縁が『顧問』を申し出、一種の『部活』になった。
 ミラクル9は、事件に遭遇することも多いが、普段は野球やドローンで遊んでいる。
 あつこは、自宅のトレーニングマシンを業者に委託して改造、投げて戻って来るまでを撮影して点数を出す機械にした。
 健太郎は、何度投げても100点だった。ある事件を切っ掛けに、「集中力」が鍛えられたのだ。
 継男と良は、『採点外』の表示が出た。外したのである。
 無論、ブーメランは戻ってこない。
 「ダーツじゃないからね。『的』は外れてもいいの。手に戻らないといけないのよ。」
 あつこは、自らコーチをしていた。
 皆が興奮して夢中になる中、健太郎の父である誠が呼びに来た。
 「みんな、おやつにしよう。」
 歓声を上げて、食堂に向かうと、様々な『餅』が用意されていた。
 「ウチのシェフが作った、突き立ての餅の料理だ。好きなだけ食べな。」と、あつこは言った。
 久保田家も、あつこの実家の渡辺家も代々警察官の家系で、金持ちである。
 あつこは、結婚を機に執事も連れて来た。久保田家で料理を作るのは、元からいるシェフと執事の仕事だ。
 恵まれた家庭なのだが、健太郎は揶揄されないように、わざと「母ちゃん」「父ちゃん」と言うようになった。
 ミラクル9のメンバーも最初は戸惑ったが、健太郎のリーダーシップを認めて『探偵団団長』に従っている。
 「あなた、将来楽しみだわ。めぐみちゃんも未玖ちゃんも高得点だったの。あ、継男くん、良くん。気にしないていいのよ。健太郎も最初は下手くそだったんだから。」
 あべかわ餅を頬張りながら、あつこは言った。
 「はい。」と、継男と良は素直に返事をした。
 「もうすぐ、『来年』だね。」誠は、敢えて『中学進級』の話をしなかった。
 白けるのが分かっているからだ。
 あつこは、皆に『今年を振り返って』という話をさせた。
 健太郎の『居眠り寝ぼけ』事件は、おさむによって語られ、大爆笑になった。
 午後5時。
 三々五々。皆は帰って行った。
 「母ちゃん、お疲れ様。みんなに気を遣ってありがとうございました。」
 そう言って、お辞儀する我が子を、あつこは抱きしめた。
 「健太郎。彼女出来たら報告しな。母ちゃんがテストしてやる。」
 「うん。」
 健太郎は、『がらっぱち』を演じてくれる母に感謝していた。
 ―完―