======== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ============== 主な登場人物 ================
 物部満百合(まゆり)・・・物部一朗太と栞(しおり)の娘。
 久保田健太郎・・・久保田誠とあつこの息子。
 大文字おさむ・・・大文字伝子と学の息子。
 福本めぐみ・・・福本英二と祥子の娘。
 依田悦子・・・依田俊介と慶子の娘。
 服部千香乃(ちかの)・・・服部源一郎とコウの娘。
 南原未玖(みく)・・・南原龍之介と文子(ふみこ)の娘。
 山城みどり・・・山城順と蘭の娘。
 愛宕悦司・・・愛宕寛治とみちるの息子。

 藤堂所縁(ゆかり)・・・健太郎の担任。ミラクル9の顧問。
 草薙あきら・・・元ホワイトハッカーで警視庁からEITOに出向していた職員だったが、今はアマチュア発明家をしている。
 鈴木栄太・・・丸髷西小学校校長。
 南出良(みなみでりょう)・・・転校生。千香乃と同じクラス。
 片山継男・・・一輪車大会で、悦子と争った。今はカレシ。


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 ==ミラクル9とは、大文字伝子達の子供達が作った、サークルのことである。==
 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==

 午前11時半。鈴木校長の家。
 朝早くから、健太郎、おさむ、悦司は鈴木校長先生の自宅の障子の紙張り替えを行っていた。
 以前、木工品フェアの時に、元職人に『最後の弟子』と認められただけあって、健太郎は器用だった。
 電話で元職人に要領を聞き出した健太郎は、ミラクル9女子と藤堂先生にホームセンターでの『買い出し』を頼み、3人で、貼ってあった障子を外して、丁寧に紙を剥がして雑巾で拭いた。
 そして、彼女達が買って来た障子紙を糊で木の桟に塗った。そして、対角線上に刷毛で伸ばして行った。
 健太郎がやった作業をおさむ、悦司が真似て作業を行った。
 健太郎は、霧吹きで素早く水を吹いた。
 「敷いてあるビニールシートに水が滴り落ちなくなったら、表に運ぶ。慎重にな。」
 「健太郎。すっかり、職人だな。健太郎の家も貼り替えたのか?」と、悦司が尋ねると、「いや、クリスマス過ぎてからだな。大体、ウチは、仏間しか和室がないんだ。今が初めて。」と、健太郎は平然と応えた。
 「ははは。じゃ、校長先生家は、『実験台』じゃないか。」「いいよ、実験は成功しているみたいだし。」と鈴木校長はご満悦だ。
 そこへ、草薙がやって来た。
 「草薙さん、おそーいい。」と、健太郎は拗ねたように言った。
 「ごめんごめん。道が混んでてね。」と、草薙は頭をかいて、「うまく出来てるみたいだな。やはり、健太郎君は器用だな。」と言った。
 「自慢の教え子ですから。」と、藤堂は写真に収めた。
 正午。
 障子を外に運び出して、風に煽られないように止めると、出前のピザ屋が来た。
 「へえ。障子貼り?まだ、早いんじゃないの?」とピザ屋の宅配のおにいさんは言った。
 「ギリギリに作業して失敗して、お店閉まってたら大変だからね。」と、健太郎は言った。
 「成程。俺も昔は随分やらされたよ、田舎で。」
 皆でピザを食べていると、藤堂先生が「クリスマス、パーティーする?」と皆に尋ねた。
 「ヤッホー!!」と叫んだのは、後から来た継男と良だった。
 「じゃあ、何かオモチャ、作っておくよ。」と、草薙が言った。
 怪我は完治したものの、大変だろうと健太郎が提案した『お手伝い』は、無事終った。
 ―完―